余命が見えるようになったのでこれを使ってハーレムを作ろうと思います
砂糖琉
告白
俺の学校には三大美人が存在する。そのうちの一人『
周りの男子生徒は全員、石原愛理に目が釘付けだ。相変わらずの人気だな。
俺はそんな彼女の前を通ると話しかけられる。
「おはよう、晴」
「おはよう、愛理」
「そういえば今日は寝癖ついてないんだね」
「今日は寝癖……? えっ!? もしかしていつもの俺って寝癖ついてるの?」
「うん」
「どうして教えてくれなかったんだよ!」
「そういうファッションなのかなって思って言わなかった」
「いや、どういうファッションだよ!」
言うと愛理は俺に笑顔を見せる。
そう、俺は三大美人の石原愛理と仲がいい。俺は今週中、彼女に告白しようと思う。
だが三大美人と呼ばれるぐらいだ。もちろん告白なんて数え切れないほどされているだろう。そんな人に告白しても撃沈するに決まっている。普通の人ならそう思って諦めるだろう。
だが! 俺は他の奴とは違う。
もし、今告白しても成功する確率はほぼ百パーセントと言っても過言ではない。
どうしてそんなに自信があるのかというと——愛理が俺以外の男と話しているところを見たことがないからだ。
つまりそれは愛理が俺を好いているという証明にもなる。
つまり告白した時点で俺は念願の初彼女ができる。しかも相手は学校の三大美人ときた。
俺はなんて幸せな男なんだ。
まだ告白が成功してもないのにそう余韻に浸っていると愛理が顔を覗かせる。
「どうしたの? 寝癖のことそんなに落ち込んでるの?」
「そんなことで落ち込まないよ」
「そう、ならいいんだけど……」
愛理は心配そうに顔を見てくる。
よし、決めた。今日俺は愛理に告白する。そうと決まれば早速、実行に移す。
「なあ、愛理……」
「どうしたの?」
「今日の放課後、体育館裏に来てくれないか?」
「……いい、よ?」
体育館裏の時点でもう告白されると勘づかれているとは思うが愛理も満更ではない表情だ。
その表情を見た瞬間に俺は心の中で呟いた——
(勝ったな)
「じゃあ放課後——」
「うん……」
自分の席へと歩く——その時に男子生徒から物凄い注目を集めているのが伝わる。
どうした、お前たち。もしかして嫉妬しているのか?
だがもう遅い。遂に愛理は俺の彼女になるのだから。
◇◇◇
授業中、放課後のことを考えていると緊張が高まる。
もう告白は成功したと言っても過言じゃないのに緊張して、愛理のことを目で追ってしまう。
やっぱり可愛い。
すると愛理と目が合い、照れた表情に変わるとすぐに逸らされる。
もしかして愛理も緊張しているのだろうか?
あの子が俺の彼女になると考えたら楽しみで放課後が待ち遠しい。
待ち遠しいと思いながらもあっという間に授業が終わり放課後になった。
教室を見渡して愛理がいないことに気がつく。早く行かないと。
だが体育館裏に愛理はまだ来ていなかった。
体育館裏は静かで人目につかない場所だから告白する時によく使われている——だと言うのになぜか視線を感じる。
なんだ? この気配は……ここの草辺りから気配を感じる……
すると愛理が走ってくる。
「晴! ごめん遅れた」
「大丈夫、俺も今来たとこだから——」
「それで、話って何かな?」
愛理は告白されると気づいてるはずなのに白々しく気づいてないふりをする。
「その、実はさ……」
「うん」
「俺、ずっと前から……愛理のことが好きだったんだ! 俺と付き合ってほしい!」
頭を下に向けて、手を差し出す。
「えっと……私——晴のことは友達としてしか見れない。だからごめん……」
「えっ……」
何が起こったのか理解できなかった。俺は……振られた、のか。
さっきまで勝ちを確信していたのに結果は惨敗だ。あまりに惨めだ。
「でも、晴が嫌いってわけじゃないから! 友達としては好きだから!」
「それ、なんの励ましにもなってない……」
「ごめん。でも、これで晴と縁が切れるのは嫌……」
「告白された側がそれを言うんだな」
「ごめん……」
どうしてそう何度も謝るんだ……愛理が謝る理由なんて一つもない。
それに俺もこんなことで愛理と縁が切れるのは嫌だ。せっかく積み上げて仲良くなれたんだ。
「分かった。それじゃあ——これからも今まで通り俺と接してくれ」
「うん」
愛理は頬を緩めて微かに赤く染める。
その表情を見て俺は思う——これで俺のことが好きじゃないのか?
「じゃあ私は友達と予定があるから!」
「うん、また明日」
「また明日——」
愛理が走っていき、姿が見えなくなってしばらく時間が経つと俺は膝から崩れ落ちた。
今までのあれは本当に全て友達としての接し方だったのか? あの接し方で俺を好きじゃないのか?
考えているとだんだん腹が立ってくる。
そもそも、初めて話した時は愛理の方からだった。
席が近かったとはいえ、いちいち異性に話しかけるか? もしかして俺って弄ばれてる?
いや、そんなはずがない。今は衝撃的なことがあった後だから正常な判断ができていないだけだ。
「帰って頭を冷やそう」
家に帰って考えると改めて思う。
どうして俺は告白を断られた? 計算に狂いはなかったはずだ。
毎朝挨拶して、休み時間にもたまにだが話していた。ちゃんと青春ができていたはずなのに……
愛理との出会いは高校に入学してすぐの頃だった。
愛理は三大美人の一人だからもちろん顔が良くて、初日から高嶺の花状態だった。
だけど男子生徒たちは愛理が高嶺の花過ぎて誰も話しかけようとはしなかった。その中には俺も含まれていた。
あんな話しかけるなオーラを出されると話しかけたくても話しかけることができない。
次の日も愛理は話しかけるなオーラを出しているせいで誰一人話しかけようとはしなかった。
あれに話しかけるは無理だな……そう思っている時だった。いきなり愛理が俺の席に歩いてきて話しかけてきたのだ。
「あ、あの……坂田晴くん、だよね……?」
「えっ……そう、だけど……」
「その、私の話し相手になってくれないかな?」
「えっと、いいよ……?」
俺がその誘いに乗ると愛理は嬉しそうに頬を緩める。
俺はその表情を見た瞬間に確信した。愛理は俺のことが好きなんだ。
確かにそれだけで好きと判断するのはあまりに自分を過信しすぎている、とは俺でも思う。
だがさすがにあんな表情を見せられたら誰だって自分を好きなんだと思うだろう。
だけど今日俺はその考えが間違っていたことに気づいた。
明日からどんな顔して話しかければいいんだ……今まで通りで接してくれと頼んだのにまともに話せる気がしない。
そう考えていても時間が止まるはずはなく気づけば次の日になって学校に着いていた。
よし、いつも通り接すればいいんだ。いつも通り、いつも通り……
そう考えながらも教室に入り愛理の前を通るといつも通り話しかけられる。
「おはよう、晴」
「あ、ああ、おはよう、愛理」
「どうしたの? なんだか顔色悪くない?」
「い、いや別に? そんなことないけど……」
もしかして気づいてないのか? 顔色が悪い理由は一つしかないだろ。
「それよりも寝癖ついてるよ」
「あっ……」
今日の朝、愛理のことを考えていたから髪のことまで気が回らなかった。
愛理は笑うとヘアブラシを出して俺の髪を触る。
「な、なにしてるんだ!?」
「ちょっと、動かないで。あと少しだから……よし、直った」
「ありがとう」
「うん……」
「…………」
「そ、それじゃあ俺は席に戻るから……」
「うん」
やっぱり今まで通り接するなんて無理だ。どうしても振られたことが思い浮かんでまともに話せない。これからどう接しよう。
考えながら席まで歩いていると途中で男子生徒の話し声が聞こえてくる。
「おい、あいつらあれで付き合ってないのかよ」
やっぱりそう思うよな。俺も驚きだよ、もう慣れたけど。
「それなんだけど昨日、あいつ石原さんに告ったらしいぜ」
「マジかよ、ってことはもう付き合ってるのかよ、残念……」
「ところがどっこい。告白は失敗したんだよ」
「えっ!? おいそれ本当かよ!」
そうだよな、びっくりだよな。あれで俺を好きじゃないとか……ん? ちょっと待て、どこでそれを聞いた?
告白したのは昨日で周りに人はいなかった。となると……
俺はそう思い、愛理の方へ振り向く。
愛理は何ともない顔をしている、すると目が合い、手を振ってくれる。
なんだよ、あいつ……悪魔か何か……?
もしかして俺はとんでもない女と仲良くしていたのかもしれない。
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