キミラノ書店と異世界の冒険者たち
森康雄
第一章 日常と不思議な本
綴野つむぎは、いつものようにキミラノ書店で働いていました。本棚を整理していると、ひときわ目立つ金色の装丁が施された本が彼女の目に留まります。つむぎはその本に手を伸ばし、ふと興味を持ちました。
「おや、これは珍しい本だね。どんな物語が隠されているんだろう?」つむぎは独り言を言いながら、本を手に取ります。
その時、店の入口から小さな女の子が入ってきました。彼女はつむぎの元に駆け寄り、「こんにちは!新しいファンタジーの本はありますか?」と尋ねます。
「こんにちは!ちょうど面白そうな本を見つけたところだよ。一緒に読んでみない?」つむぎは優しく笑いながら、その金の装丁の本を女の子に見せます。
女の子は目を輝かせながら、「うん!読んでみたい!」と答えました。二人は店の隅の読書スペースに座り、ゆっくりと本を開きます。金色のページが光を放ち、まるで魔法のようでした。
「ここには、遠い異世界の冒険が書かれているみたいだね。」つむぎが説明します。女の子はわくわくしながら、「どんな冒険なのかな?」と聞きます。
つむぎは優しくページをめくり、「この本はね、勇気と友情についての物語なんだ。さあ、一緒にこの冒険を始めよう!」と言い、物語を読み始めます。
その瞬間、不思議なことが起こりました。店全体が明るい光に包まれ、つむぎと女の子はその場から消え、未知の世界へと旅立っていきました。キミラノ書店の中には、ただ静かな空間と閉じた本だけが、残されていました。
つむぎと女の子が目を覚ますと、彼らは見知らぬ森の中に立っていました。木々は高く空へと伸び、その葉からは光がこぼれ落ちていました。二人は驚きながらも周りを見回します。
「ここはどこなの?」女の子が不安げにつむぎに尋ねます。
「うーん、どうやらこの本に書かれていた異世界に来てしまったみたいだね。でも大丈夫、一緒に探検しよう!」つむぎは励ましの笑顔を見せます。
二人は手をつなぎ、森を歩き始めました。突然、小さな光の粒が彼らの周りを飛び始め、「お客さん、こちらへ」と誘う声が聞こえます。つむぎと女の子はその声に従い、森の奥深くへと進んでいきます。
「不思議なこともいっぱいあるけど、新しい発見が楽しみだね!」つむぎは明るく話します。
女の子も次第に笑顔を取り戻し、「うん、わくわくする!」と答えながら、手をしっかりと握ります。二人は森を抜けると、広がるのは壮大な景色の新しい世界でした。山々、湖、そして空高く舞う鳥たち。全てが彼らを歓迎しているかのようでした。
この未知の世界エルナディアに足を踏み入れたつむぎと女の子は、冒険が始まることを知りませんでした。彼らの胸には不安と期待が交錯する中、新たな章が開かれようとしていました。
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