人外、モン娘、魔物娘、上位存在の女の子に【人間くん】、あるいは【あなた】が好き放題されてしまう短編ストーリー集

ももちもち

生徒会長お狐様

 魔族と人間との交流のため、交換留学生として魔界の高校へと一人通うことになった人間くん。


 慣れない環境での一人暮らしに不安な気持ちと、美人な魔族さん達がたくさんの学園生活への期待。半々の思いを胸にいざ新生活を始めてみると、実際人間に配慮されていない魔界での生活は困難の連続だった。たとえば人間が食べてはいけないものが平然と売られていたりだとか。


 そういった困難に人間くんが直面すると、いつもどこからともなく現れるのが人間くんの通うことになった魔界学校の生徒会長のお狐様。もふもふの尻尾を携えて、どんな摩擦や軋轢も持ち前の知性で颯爽と解決し言葉少なに去っていくお狐生徒会長さん。


 そんなクールな彼女に秘かに憧れを抱くようになった人間くんは、彼女に見合う自分にならなくてはとお狐様に頼らずとも生きていけるよう一人立ちを決意する。


 翌日、学校帰りに誤って淫魔さんがいっぱいいる地域に入りそうになってしまった人間くんが手遅れになる直前にどこからともなくお狐様が現れる。いつもよりどこか厳しめな彼女の説教の後、立ち去ろうとする彼女の背中に人間くんは叫ぶ。


「あのっ、いつも助けてくれて感謝してますっ! でも、もうボクを助けるのは止めてくださいっ!」


 口下手な人間くんがそう言った直後、目にも止まらぬ速さで人間くんの目の前に詰めよったお狐様は今まで聞いたことがないほどの平坦な声音で、


「なんで?」


 と人間くんの顔を爪の立った両手でがっしりと掴みながら覗き込んでくる。


「どうしてそんなこと言うの?」


 あまり感情を見せることがないお狐様だけれどいつも以上に感情というか心の内が見えない真っ暗な瞳で押し潰すように人間くんの目を覗き込んで無表情にどうしてどうしてと何度も詰め寄る話。

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