悪役令嬢は蚊を召還しました!でもその蚊はレベルアップしていきます
@marin0313
1、召還失敗?
フィレンツェ王国は使い魔と共に繁栄していった国だ。
初代国王は聖獣を召還し敵国との戦いに勝利、国を建国した。フィレンツェ王家のエンブレムは初代国王が召還した聖獣の紋様が中心に刻印されておりその横をクロスした剣が飾ってある。
使い魔は生涯よき友人として力を奮ってくれ、街中でも馬車を引くモンスターや兵士と一緒に戦ってくれるモンスターなどがいて市井ではそういった光景は日常的だ。
子供の魔力が安定する七歳になると国の教会で使い魔召還が行われる。貴族は代々魔力量の多い者同士、魔力の質が良いもの同士で血を繋げていくため、滅多に呼び声に答えてくれない精霊や上級モンスターなどが召還されることがあった。
教会では国内有数の貴族であるマガルデア公爵家の令嬢ローゼリア・フォン・マガルデアの使い魔召還の儀が行われようとしていた。
マガルデア公爵家は代々強い闇の魔力を持っていてローゼリアの父は闇の精霊王、母は水の魔力の家系に生まれており水の精霊を使い魔にしている。その二人から生まれた息子ローゼリアの兄も類いまれなれる魔力を持って生まれ七歳の頃にダークドラゴンを召還し周囲をあっと驚かせた。
そんな親子と兄の元に生まれた娘ローゼリアはその期待もひとしお、魔力量も無尽蔵にあり、将来の期待もされている。
そのローゼリアの召還が今始まる。
(わたくしはこの召還を絶対成功させるわ……!)
周囲からの期待を一身に背負った幼い娘はプレッシャーを受けていた。だが自信もあった。沢山の魔力を持って生まれ、親や兄は強い使い魔と契約している、自分もそうなるだろうという驕りがあった。
地面に描かれた召還陣に腕をかざし魔力を流し込む
すぅっと一つ深呼吸をして
『魔の盟約を結びたもう我が使い魔よ…いでよ!』
召還陣が光輝きまばゆい光に包まれた、眩しさに目を瞑り、もう一度目を開けると……
(え……?)
ローゼリアの視線の先には何もなかった
「おや…?おかしいですな。もう一度やってみましょう」
召還を見届けていた教皇が言った。
(わたくしが失敗するわけない!こんなの可笑しいわ……!)
ローゼリアは眉間に皺を寄せ口元をきゅっと結んだ。
再び魔力を流し込む。
『魔の盟約を結びたもう我が使い魔よ…いでよ!』
召還陣は再び光輝いたがやはりその場所にはなにも居なかった
「これは……」
「どういうことだ?召還陣は呼び掛けに答えたように見えたが」
「まさか失敗か……?」
周囲にいた教会の修道士たちがざわめきだす
ローゼリアは愕然としていた
(なんでなの……?魔力を召還陣に吸いとられた感覚はあったのに)
自分の思い描いていた未来とはまったく違っていることにショックを受けていた。
本当はとびきり強い精霊を召還してお父様、お母様、お兄様にめいっぱい褒めてもらうつもりだったのに……
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