学生トーク「試験編」

山田 武

学生トーク「試験編」



「『試験』についてどう思う?」


「……あー。いつもの?」


「まあ、うん。で、どう思う?」


 何度か発作のように、同じようなフレーズで何かについて聞いてくる友人。

 まあ、年に何度かなので気にしない……いちおう、調べ直して勉強になるからな。


「調べる前の意見としては、まあ身についたかのチェックだよな?」


「テストってことか」


「……英語で言えばな」


 試験の『験』の字は……うん、すぐには思いつかないが、『試』は試すだ。

 つまりは何かを試すこと、それが試験という単語が意味するところだろう。


「子供、というか学生……いや、勉強している奴からすれば、試験よりテストの方が多い気がするよな」


「まあ、試験の方がここぞって時にやる気がするよな。テストは日々の結果、試験は総まとめ……みたいな?」


「かもな…………よし、そろそろ調べよう」


 スマホで『試験』と入力し、話題にできそうな情報を調べる。

 そして、次いで別の単語も打って……いい内容を見つけた。


「まず『験』、要は積み重ねだな。さっき予想してた通り、やってきたことがちゃんと身についているかのチェックって意味で合っているみたいだ」


「おお、やっぱりか」


「あとテストなんだが……俺たちのイメージするテストって、紙で出された問題を解くヤツだよな?」


「うん、それだな」


「紙でやるテスト、つまりペーパーテストなわけなんだが……これ、和製英語らしい」


「え゛!?」


 まあつまり、アメリカ人にテストテストと言ったところで、すぐには問題を解くテストと分かってもらえないってわけだ。


「じゃあ、本場だとどういう意味なんだ?」


「確認、とかそういう感じだな。いちおうその紙のテストも込みだし、ちゃんと求められた性能を発揮できるのか試すのもテストであり試験なわけだ……ゲームのβテスト、とかそういう意味なわけだ」


「なるほど!」


 やはりゲームの方がイメージはしやすい。

 そのゲームが正規版として、売り出しても致命的な部分が無いことを試すため、検証用に出すもの、それがβテスト版だ。


 βテストの結果が上手くいかなかったら、ペーパーテスト同様、再試験となるだろう。

 …………だいぶ話が逸れてきたな、とりあえず纏めておくか。


「つまり試験は、何でも求められるものにある程度なっているかを調べるためのものだ」


「ん? ちゃんと、100%なっているかどうかじゃないのか?」


「……その辺はな」


 ペーパーテスト然り、決してなくならないバグしかり……世の中に、完璧が無いからこそテストもまた無くならないんじゃないか?


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