第35話
「ふ、副社長っ! えっと、あのそうです……えっと」
修哉は掴んでいた未希の手首を雑に離すと温度のない目で睨みつけた。
「確認だが、今君は有川さんに暴力を振るおうとしたよな?」
「いえ、違います! 恋先輩の髪に……ほ、埃がついてたので取ってあげようとしただけです」
「本当に?」
「も、勿論です」
「……そうか。二人で何を話してた?」
「あ、私ずっと四葉副社長に憧れてて~その秘書としてお力に慣れること沢山あるんじゃないかなっと思って~有川先輩に相談してたんですけど~」
「その必要はない。俺の秘書は有川さんしかいないと思っている」
修哉のその言葉に未希の顔がすぐに歪む。
「副社長! なんで有川先輩なんですか!! みんな言ってますよ、こんな人事おかしいって」
「有川さんについては部長から詳しくその有能ぶりを聞いている。顧客目線に立った誠実で的確な提案力や正確で真摯に仕事に取り組む姿勢は大いに評価されてしかるべきだ」
「でも……私の方が教養も……っ」
「しつこいな。そもそも君は入社二年目にもなってもFAXひとつ、まともに送れないこともあるとか? ケアレスミスも多いと部長も嘆いていた。有川さんが粘り強く君に仕事を教えていたようだが、有川さんじゃなかったらとうに見放されててもおかしくないと思っているが君はどう思ってるんだ?」
「っ……」
(修哉……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます