第32話
(あ、誰か来た……)
「はい」
私は返事をして立ち上がると、すぐに副社長室の扉を開けた。
「恋先輩〜お疲れ様です~ぅ」
「え、未希ちゃん?」
「ちょっと見積引継ぎで聞きたいことあってきました~、あ、副社長いないんだぁ」
そう言うと未希は副社長室をしげしげを眺めながら、私のパソコンをのぞき込む。
「ちょっと……」
私はすぐに名簿を片付けると、パソコンの画面を未希に見られないようにロックを掛けた。
「へぇ~早速、副社長から秘書業務任されてるんですね~」
「そんなことより、見積の話って?」
「あぁ、恋先輩から急遽メイン担当で引き継ぐことになったレストランの改修ですけど~お色味ってチョコレートブラウンでいいかなって」
「あ、それなんだけど個人的には両方の見積書とカラーサンプル、プレゼンシート用意して
お相手に選んで頂いたらって思うんだけど」
「え~、どっちが選ばれるかもわかんないし、そもそも〜どっちも選ばれないかもしれないのに提案レベルでそこまでする意味あります~?」
私はいら立ちをぐっと抑えると未希と視線を合わせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます