第3章 第8話 白神VS黒羽

白神(しらがみ)は怒りに満ちた表情で黒羽(くろはね)を睨みつけた。


彼の周囲には冷たい炎が渦巻き始め、その圧倒的な力が空気を震わせる。


「てめえみたいなヒラメみたいな顔した女が俺様を好みじゃねえとかジャッジしてんじゃねえよ!ブス!」


白神の声は怒号となり、響き渡る。


黒羽は眉をひそめ、呆れたようなため息をつく。


「はあ?令和はうちみたいな可愛い美少女が評価されんだよ!いつの時代生きてんのあんた?頭わいてんちゃうん?」


白神の目がさらに鋭く光り、手を振りかざすと冷たい青白い炎が形成される。


「Frost Inferno(フロストインフェルノ)!」

その技名と共に、氷のように冷たい炎が黒羽に向かって放たれた。


炎が空気を裂き、黒羽を飲み込もうとする。


しかし黒羽も負けてはいなかった。


彼女は素早く詠唱を始め、熱気を帯びた氷の魔法を生み出した。「Koude Woede(カウデウーデ)!」


冷気と熱気が同時に混じり合い、白神の攻撃を押し返す。氷の破片が飛び散り、周囲に霜が広がる。


「ほう?Aランクのカス女の分際で意外とやるな。」白神は挑発するようにニヤリと笑う。


「カルよりはマシかも知れんな。」


黒羽はその言葉に顔をしかめたが、すぐに反撃の構えを取った。


「あんたみたいな時代遅れのナルシスト、潰してやんよ!」


黒羽はさらに力を込め、詠唱を始める。「Gelo de Fúria!(ジェロジフーリア)」


ポルトガル語の詠唱が響き渡ると同時に、氷の波が白神に向かって押し寄せた。


それは単なる氷ではなく、黒羽の魔力が込められた熱を含んだ一撃だった。


白神はそれを受け止めるべく、さらに冷たい炎を生み出し、二人の間に激しいエネルギーの衝突が生まれる。


冷気と熱気、氷と炎、二人の魔術がぶつかり合う中、戦場はさらに激しさを増していった。




白神の冷たい炎をまとった刃が、黒羽の左腕をかすめた瞬間、彼女の体に冷気が浸透し始めた。

その異様な感覚に、黒羽は目を見開き、膝をつく。


「くっ...!」黒羽の顔は苦痛に歪む。

傷口から侵入した冷たい炎は体内で広がり、彼女を内側から蝕んでいた。


体が内側から凍っていく感覚、、、


「ははっ、結局この程度か。」白神は勝利を確信したかのように嘲笑を浮かべる。

「Aランクにしては善戦したが、Sランクには遠く及ばないな。」


しかし、倒れかけた黒羽の瞳には燃えるような決意が宿っていた。


彼女の脳裏に浮かぶのは、自ら命を絶った兄の姿。


「にいに...」黒羽は涙を浮かべながら呟く。「こんなところで終われない。にいにの仇は必ず取るから!」


その叫びは悲痛で、戦場にこだました。


しかし、冷たい炎は彼女の体力を奪い尽くし、黒羽は力尽きて地面に崩れ落ちた。


白神は彼女を見下ろし、つまらなそうに肩をすくめる。「所詮は雑魚か。少し期待したがな。」


そう言い残すと、白神は踵を返し、Pale Raven(ペーイオ・レイヴン)の王を追いかけに走り去った。

その背中は余裕と冷酷さを漂わせ、戦場には静寂が訪れた。


まあ白神も飛べないんだけどね。


倒れた黒羽の周囲に散らばる氷の破片が、彼女の戦いの激しさを物語っていた。

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