第2話 ホウキ乗りの少女
生徒指導室を出たわたしは、重くなった気持ちと足を引きずりながら一階の東校舎から出入口のある西校舎に移る外廊下を歩いていた。ここからなら学校全体が見渡せる。
雲一つない青空のような壁に、ピンク色の屋根のとってもかわいくてメルヘンな本校舎。校庭はコンクリートの道の間にスミレやキュウリグサが植えられた花壇があって、真ん中には噴水が太陽の光で輝いている。
そんな妖精の
「ねぇねぇ! 試験、どうだった?」
「もちろん合格だよっ! 憧れのフェアリーメイルに一歩近付けたーって感じっ!」
キャッキャッとした楽しそうな声が外廊下の上から聞こえてきて思わず立ち止まった。今は試験期間中で授業がないから、クラスメイトも空を飛んでいる女の子たちもいつもより嬉しそう。しかももう試験を合格したみたい。
それなのにわたしは。そう思うと、空をフワフワ飛んでいく女の子たちを見上げていた顔が自然と下を向いてため息が出た。
「飛べさえすればなぁ」
ひとり言を小さく口から出すと、悔しさとか悲しさが溢れて体が震えてきた。それを押さえるためにギュッと拳を強く握りしめる。
(このままじゃダメだっ……憧れていた、あの時の自分を思い出さなきゃ!)
そう思ったら、途端に勇気がグングン湧いてきて体の震えが止まった。そのままの勢いで顔を上げたわたしのオレンジ色の目は、きっと夕日のように輝いていると信じて天へと顔と両手を突き上げた。
「よーーしっ‼ 暗くなるなんてらしくないないっ!」
大きな声で叫んで気分がスッキリしたわたしは、腰に手を当ててフンスッと鼻息を吐いて気合いを入れ直した。
「なんとか飛べなくても合格できる方法を探さなくちゃ! …………でも、どうやってぇーーー‼」
それでも解決方法なんてそんな簡単に思い浮かばなくて。わたしは髪をぐしゃぐしゃとかき回しながら頭を抱えて外廊下をウロウロしていた。
そんな時。遠くから、だれかの声が聞こえてきた。ううん、それは声というより。
「どいてどいてどいてーーっ‼」
「へっ?」
悲鳴のような大きな声が空から聞こえて、わたしは口を半開きにしながら見上げた。そこにはホウキに乗って空を飛んではいるもののフラフラとよろけていて、今にも物凄いスピードでわたしの方に突っ込んできそうな女の子が。
「あ、あ、わあぁぁぁぁ‼」
ドンッ。
わたしはびっくりしてその場から動けずに、そのままホウキに乗った少女に体当たりされた。あまりの衝撃に辺りがチカチカして、なんだか星みたいで綺麗。だなんておかしなことが、頭の中に浮かんでは消えた。
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