クールに人助けムーブしようとしたら失敗した

クククランダ

プロローグ


 クールな人間になりたかった。


 あ、いや。別に熱血系とかが嫌いとかではない。全然好きだ。だが、俺の目にはどうしてもクールキャラがカッコよく写ってしまっただけなのだ。



 まぁ、結局その願いは果たせなかったが。




 まぁ、最後に綺麗な女の子を助けて死ねたのだから上々な死に方だったのではないかと思う。ただ、そいつは泣いていたのであんまり良くない死に方だと思った。なにせ、その子は罪悪感を感じるかもしれないのだから。



 あー、ああ言う時クールなキャラだったら颯爽と助けて大丈夫か? とか聞けるんだろうなぁ。良いなぁ。俺もそうなりたかったなぁ。



「……んで、ここどこだ?」



 俺は妄想を一度やめて周りを見渡す。空はどこまでも続く青空、周りには何もなくただ果てが見えない。地面は水鏡のように全てが反射している幻想的な風景だ。



「極め付けはあの扉か……」



 俺の前に建てられている白い扉。扉の周りをぐるりと一周するも何もない。本当にただの扉だ。



「どうせ、死んだんだし。ここにでも入るか!」



 そうして俺は扉を開けて中に入る。




 彼は知らなかった。白い扉の対面の向こう側にもう一枚、白い扉があることを。

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