後章

東方大蛇線前編

【犬御徒駅】 さよなら、黒いわんこ

 六月の一日の朝。

 鳳凰台駅から東方大蛇線外回りに乗って二ヶ所目。

 祥観達三人は、犬御徒いぬおかちえきの1番乗り場にやって来た。

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………………

 ブウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 東方大蛇線が発射した。

 そしたら、祥観が後ろ向いた。

「ううん?」

 また、祥観は後ろを向く。

「おお、どうやら、電車が通路に何るんだね!」

「通路になる? どう言うこと?」

「ほら、線路見てよ!」

 タッタッタッ……

「ううん?」

 ハートは、ホームの下を見た。

 何と、二本あるはず線路が一本だけなのである。

 しかも、2番乗り場までの距離は電車一両分の横幅とほぼ同じなのだ。

「さぁ、もう一度、東方大蛇線を待とう!」

 そうは話している内に、前からやって来た。

 ブウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………………………

 ガタンッ!

「置くと手前のドアが開いた!」

「やっぱり、祥観の予想通り! すごいよ、祥観!」

「ありがとう、レミング!」

 ダッダッダッダッダッダッダッダッ! ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!

 祥観達は、二両の電車を通って3番乗り場にやって来た。

「ワンワンワンワンワンワン!」

「ワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワン!!!!!!!」

「ワオォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!」

 現れたのは、立ち耳の黒くて小さい犬。

 しかも、出入り口を塞ぐほどの数がいた。

「ワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワン!!!!!!!!!!!」

「ワオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!」

「祥観、お願い!」

「解った!」

 ギリンッ!

 祥観は、バッグから槍を取り出した。

 そして、その祥観を黒い犬が襲う。

「グワァッ!」

「グワァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 しかし、祥観は、槍をくるりと半回転。

 そして、呪文ののようなものを叫んだ。

「マギアスラッシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 ブワアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ……」

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……」

 ブワアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 小さな黒い犬は、一瞬にしてオーブに変化。

 そして、そのオーブは、祥観の槍に吸収される。

 ビウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーン……………………

「すごかったよ、祥観!」

「ええ?!」

 祥観を褒めるレミング。

 しかし、ハートには、すごさよりもあり得ないと言う気持ちが強かった。

「ねぇ、あなたは、魔法が使えないのよね?」

「ここに来たばっかりの時はね。けれど、今は違うよ!」

 祥観は、槍を横にしてハートに見せた。

「ううん?」

 よく見ると『▽□』のマークが刻まれている。

「これって?」

「レミングの術式だよ。これをある武器を使うことであたしでも魔法が使えるの」

「まさか、ここまでして祥観を手助けしたいとはねぇ…………レミング」

「まぁね。これも、祥観を僕のものにするためだよ。とにかく、次へ行こう!」

 ブワアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………………………

 三人が話している間に、東方大蛇線がたくさんやって来た。

 今度は、9番乗り場まで続いている。

 ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!

 祥観達は、電車の通路を渡った。

 

 ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!

「着いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! 」

「ワオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ! 」

 ドガァッ!

「うぁっ!」

 9番乗り場に着いた祥観達。

 その内、祥観が、不意打ちを喰らった。

「ガブゥッ!」

「うおっ!」

 たれ耳の大きな黒い犬は、牙を剥き出しにして噛みつこうとする。

 しかし、やられるわけにはいかない祥観は首横に振って回避した。

「グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………………………」

「グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………………………………」

「大きいワンコがたくさん…………仕方ない……………………」

 ズスッ!

「待って!」

「ううん?」

「ここは、あたしがやるわ。さがってなさい!」

「ああ、解った……………………」

 ハートは、胸元の毛を両手で撫でた。

 そして、指先を上に向けて万歳をする。

「大天魔術『さよなら、ワンコ』」

 ブオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーー………………

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーー………………………………

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……………………」

 シュワアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーンッ…………………………

 大きな黒い犬は、袋を取られたかのように倒れていった。

 倒れた黒い犬から溶けるように消えていく。

 そして、黒い犬は、オーブとなってハートの胸毛に吸収された。

「よしっ!」

 バンバンッ!

「助けてくれてありがとう。まさか、ハートも大天魔術が使えるなんてね」

「うん!」

「それにしても、あの魔法はどう言う原理なの? あなたの魔法は聖なる属性なんだよねぇ」

「あれは、除霊と同じ原理よ。魂を抜いて倒しているの」

「うん、さすが…………」

「レミングは、あたしには意地悪ね」

 ブオォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーー………………………………

 ガタンッ!

 三人が話している内に、東方大蛇線がやって来た。

 今度は、3番乗り場まで電車が続いている。

「ああぁっ、とにかく次へこう!」

 イライラした気持ちを切り替えるかのように、レミングは電車の通路を渡る。

 その後ろを、祥観とハートが着いていった。

 

 ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!

 トンネルのような通路を走る祥観達。

 その後ろ、あることが起こった。

 ガタンッ! ガタンッ!

「ええ?!」

 何と、後ろにあった電車のドアがしまったのである。

 そして、三両以上通った後、閉まるドアは三両目で終わった。

「ふぅぅぅぅぅ………………怖かったぁ」

「どちらにせよ、電車で先へ進めるねぇ」

 と、その時。

 ヴウォォォォォォンッ! トタトタトタトタッ!

「ワオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!!」

 新たな、ダンジョン駅の敵が現れた。

 レミングの方には、立ち耳と黒い軍服をした爆乳の黒い犬娘が前後に二体。

 祥観達二人方には、たれ耳と白い軍服をしたスレンダーの黒い犬娘が前後に二体。

 足下には、腹が白い立ち耳の小さな黒い犬が大量にいる。

「かこまれちゃたよ…………」

「うん…………」

「かかった方が悪い! 我らは、犬御徒。この駅守るブラックドッグなり! 」

「次の駅へ行きたければ…………」

「我ら、犬御徒と……」

「仔犬御徒を倒せ!」

「ワオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!!!!!!」

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ………………

 仔犬御徒が電車の中に入り込んだ。

 しかし、ハートは、それを待っていたのである。

 ハートは、胸毛を撫でた後、指先を上に向けて万歳をした。

「大天魔術『さよなら、ワンコ』」

 ブオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ………………

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーー…………………………

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ…………………」

 フシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーー…………………………

「何?!」

「消滅しただと?」

「こうなったら、我らも行くぞ!」

 カチャッ! カチャカチャカチャッ!

 四体のブラックドッグは、祥観達三人を、挟むように銃を構えた。

「中堅魔術」

「『ヘルドロップ!』」

 ドゥキュンッ! ドゥキュドゥキュドゥキュンッ!

 ボワーーーーーーーン!

 ブラックドッグが放った炎の銃弾。

 迫り来る状況の中、祥観達は一歩も動かなかった。

「やったかぁ?」

「ううん?」

 黒い煙がミルミルと消えていく状況。

 その中で、祥観が槍で床を刺している。

「ディスペルバリア! アンド…………」

「ううん?」

「ううん???」

「シールドプレス!」

 ドシャァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 ドシァドシャァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 ドシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……………………」

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………………………………………………」

 四体のブラックドッグは、八枚のバリアでビーフジャーキーのようにぺっしゃんこ。

 そして、剥がれ落ちろように倒れていった。

 これにより、祥観達は犬御徒駅をクリアしたのである。

 

 

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