【番外編】『悪鬼惨殺』
♢
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「あーあ‥こいつぁもうダメだな」
ここはショウMA達がいたスターティアがある『
ヘヴンにより死にたくても死ねずログアウトすら封じられながら永遠と
普段つけていた仮面も投げ捨てられており、恐怖に塗りつぶされた男の顔がはっきりと見える。
「フォルモイドさんだけじゃありません。『切り裂き道化襲撃』に参加したギルドメンバーのほとんどが悪鬼惨殺から脱退。‥ログインすらしなくなる者も続出しています」
「道化だけならまだしも、あの
「目撃情報が出た時、手が空いてた上位プレイヤーがコイツだけだったからな‥。俺が行けばよかった」
四千を超えるプレイヤー数を抱え、LVカンストユーザーも数多く在籍している組織力も相まり、一億人以上のユーザーがいるレヴァラグでも名実ともに5本の指に入るであろうTOPギルドである。数多くのPKから取り上げたアイテムや装備なども多数所持していて、悪鬼惨殺が実質独占しているレアアイテムも少なくない。
もっともPKプレイヤーは、一度キルされると自身の持っているすべてのアイテムをそのプレイヤーに奪われ、さらにその罪の重さに応じたペナルティが課せられる。
そのため、PKプレイヤーは日々彼らに怯えながらレヴァラグをプレイしていた。つい先日までは。
「"
「ガッッ!!」
一人のプレイヤーが、うずくまって震えているフォルモイドの頭を容赦なく踏みつける。しかしフォルモイドは攻撃されて尚、ただひたすらに怯えている。
「ネットに出回った
「そうかっかすんなよジルスぅ〜。あ、もしかして
「あなた絶対モテないですよね」
ここの部屋にいるのは、未だに正気を取り戻せていないフォルモイド、『悪鬼惨殺』内でも上位のプレイヤー三名と、ギルドマスターの計5名のみ。その全員がフォルモイドと同じように、それぞれ特徴的な仮面をつけている。
そして現状に痺れを切らし、今まで固く口を閉ざしていた一人の女が冷静に判断を下す。
「‥戦乙女はひとまず後回しだ。お前達は引き続きキョウイチロウの行方を探せ。次は私が直々に行く。それと」
「ヒッ!?」
座り込んでいたはずの女が、フォルモイドの側へとおもむろに近づく。未だに頭を踏みつけられながら情けなくうずくまっているフォルモイドへと視線を合わせ、小刻みに震える肩にそっと手を置く。
「お前は今日限りでさようならだ、フォルモイド。今まで、よく頑張ってくれた」
「マ、マスター‥!いえ!私はまだ‥!」
告げられた宣告にフォルモイドが震えながらも立ちあがろうとしたその時、突如としてその口から大量の血が噴き出る。それもそのはず、フォルモイドの胴体は三方向から異なる武器で貫かれていた。
長剣、槍、ナイフ‥それらを持っているのは、数日前まで自分と同格であり、仲間だったはずの悪鬼惨殺の上位プレイヤー達。
「もう好きにしていいぞ、お前達」
「まっ!待ッーーーー」
それが最後のセリフとなり、フォルモイドは頭部を槍で貫かれ、絶命。最後はポリゴンとなって死体ごと消えてしまった。
「道化と一緒にいたって報告の初心者はどうします?確か‥ショウMAとかなんとか」
「‥まぁ、下部の者にそちらは任せよう。お前達はあくまで
『悪鬼惨殺』ギルドマスター、プレイヤーネーム『ロキ』。またの名を『PK殺し』。
「あいつだけは……絶対に殺す」
この一件がショウMA達と『悪鬼惨殺』の長い因縁の始まりとなろうとは、この時はまだ誰も予想だにしなかったのである。
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