楽しかったことなど
松橋龍太
第1話
彼が見ていた景色はどんな色だったろうか。10年前見えていたものは確かに灰色だった。
今はどうだ。
鮮明ではない…が、どこか穏やかな、落ち着いた色にも見える。
さて、これから話すのは、とても言葉にするのも憚れるような小恥ずかしい話かもしれないが、どこかの誰かにとっては救いのある話かもしれないな。しかし、それでも彼は救われることはないのかもしれないが、話さなければならない気がしている。
そんな話をこれから彼はしようとしている。
その彼の名を松橋龍太と言う。
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