第165話

宇宙海賊の討伐は思ったよりもあっさりと終了した。

正直この結果は拍子抜けだった。

データを確認すれば宇宙海賊の船は小型艦が中心だったのも原因だろう。

数を討伐することはできたが主力艦がいなかったことを考えると作戦結果は微妙であったと言わざるを得ない。

「戦闘も終わりましたし撤収しましょう」

「了解」

雪風を中心にフロイタル星系に帰還する。

途中、アナスタシアの率いる艦隊とも合流する。

どうやらアナスタシアの方も被害はなかったようだ。

そこにアナスタシアから通信が入る。

「トキノリ殿。後でいいかの?」

「アナスタシア様。何かありましたか?」

「うむ。通信で話す内容でもないのでな」

「わかりました。では執務室でお待ちしています」

諸々の手続きを配下に任せてトキノリは執務室に向かった。

溜まっていた書類を片付けているとアナスタシアもやってくる。

だが、1人ではなかった。

「アナスタシア様。お待ちしてました。そちらの方は?」

「はじめてお目にかかります。ハロルドと申します」

そう言って頭を下げてくる。

「この者はカルラ姉様の従者でな。渡したい情報があると接触してきたのじゃ」

「渡したい情報?」

「うむ。それがまた厄介なものでな」

「データを確認しても?」

「はい。その為に持ってきた物ですから」

トキノリはデータを受け取り確認する。

そこに収められていたのは海賊の巣の現在の状況だった。

今回の討伐で小型艦の数を減らすことには成功したがそれは氷山の一角だった。

このデータが事実なら宇宙海賊の所有する船はほとんど減っていないことになる。

「カルラ様は反対しておられますが3巨頭の他の2人はこれを機会に海賊国家を設立するつもりです」

「海賊国家を?皇帝陛下が認めるはずがないじゃないですか」

「その通りです。今までは見逃されていましたがそんなことになればエニュー帝国と本格的に戦うことになります」

「宇宙海賊と言っても全員が戦えるわけではないですよね?」

「その通りです。領地を離れた理由は様々ですが救いを求めて海賊の巣にやってきた人々も大勢います。カルラ様はそういった人々を守ろうとしているのです」

「カルラ姉様らしいのじゃ。昔から民を第1に考えるところは昔から変わっていないのじゃ」

「無理を申しているのはわかっておりますがハラヤマ様。カルラ様を助けてはいただけないでしょうか?」

「助けるですか?私だけでは難しいですね」

トキノリの手元にはかなりの戦力があるがデータの示す通りの戦力が宇宙海賊側にあるなら戦力が圧倒的に足りていなかった。

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