第78話
「まもなく航路を外れます」
「了解。てはず通りに進めてください」
事前に航行の指示を受けていたのでその通りに操船すればいいだけだ。
まず、マルエ公爵の艦隊がワープしその後に雪風がワープする。
最後にアナスタシアを護衛してきた艦隊がワープすることになっている。
「マルエ公爵の艦隊がワープしました」
「では、10分後にワープを」
問題が起きることもなく雪風もワープに入る。
今回は距離が長いため2日ほどワープ空間で過ごすことになる。
「アナスタシア様。ユーラシア様。することもないですし、食事などいかがですか?」
「そうですね。いただきます」
「では、食堂に案内します」
トキノリはそう言ってブリッジを後にする。
アナスタシアとユーラシアが着いてきているのを確認して通路を抜けて食堂に移動した。
「なにかリクエストはありますか?」
「甘いものが食べたいのじゃ」
「私も同じものを」
「わかりました。では、ホットケーキとかはいかがですか?」
「ふむ。悪くないのじゃ」
トキノリは自動調理器を操作して3人分のホットケーキを用意する。
さすがに皇女殿下であるアナスタシアの前で軍用レーションで済ませるわけにはいかないだろう。
出来上がったホットケーキを皿に載せ最後にバターと蜂蜜をかける。
「お待たせしました。飲み物は紅茶でよかったですよね?」
そう言って2人の前にホットケーキと紅茶を出す。
トキノリは最後に自分の分のホットケーキとコーヒーを用意して着席した。
「うむ。美味しそうなのじゃ」
「いただきます」
2人が食べるのを確認してからトキノリもホットケーキを食べる。
「うん。ふわふわで美味しいですね」
「自動調理器だから味は期待していなかったが、このホットケーキはプロの料理人にも負けていないのじゃ」
「アナスタシア様。他の料理もすごく美味しいですよ」
「それは楽しみなのじゃ」
そう言って2人はあっという間にホットケーキを食べてしまう。
「おかわりも用意できますけどどうします?」
「頼むのじゃ」
「私ももう少し食べたいです」
トキノリは自動調理器を再び操作してホットケーキを用意する。
先程はプレーンの物だったが、今回は抹茶にしてみる。
「先程とは違う味にしてみました」
「ほう。バリエーションも選べるのか」
「この自動調理器は芸が細かいですね」
「飽きがこなくて良いのじゃ。設計者に感謝じゃな」
2人は色々試したいとその後もかなりの量を食べていた。
満足してくれたようでトキノリとしてもひと安心だった。
それと同時に恐ろしさも感じていた。
今回は、マルエ公爵が食料を用意してくれていたが使われた食材は高級品だ。
軽く計算してみたが普通の仕事をしていれば赤字コースだ。
女の子に甘い物を奢る際は気を付けたほうがいいかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます