第7話
目的地は隣の星系のフロント星系にある工場だ。
運航システムは徹底的に効率化されておりトキノリだけでも操作が可能だった。
「ふむ。オートパイロット機能まであるのか」
そんなことを言いつつトキノリは自分で船を操作する。
別に運転したいとかそういう理由ではなく少しでも早くこの船に慣れるためだ。
いくら自動化されているとはいえ、トラブルが発生した際には手動で操作する必要がある。
これは宇宙船に乗る者の常識だった。
「よし。短距離ワープも試してみるか」
前の輸送艦にはワープ装置など組み込まれていなかった。
なので、隣の星系にいくにしても通常航行するしかなかったのだがあるなら利用してみたくなるのが人の心理だ。
「ここなら問題ないかな?」
トキノリは航路を外れ確認する。
ワープ装置にも問題がないわけではない。
往来の激しい場所では事故を防止する為、ワープすることができないのだ。
なのでワープ装置を利用しようと思ったら航路を外れるしかないのだ。
とはいえ、それでも事故が全くないわけではない。
不幸なことにワープ先に隕石があったとか他の船がいたとか年に数件はそういう事故が発生するのだ。
「まぁ。気にしても仕方ないか」
トキノリは深くは考えずワープ装置を起動する。
一瞬の浮遊感を感じた後、万能戦艦雪風は亜空間に突入する。
「ワープアウトは30分後か。それまで暇だな」
トキノリはこの時間に軽く休憩を取ると決めて買っておいたレーションをもぐもぐと食べる。
片手には端末を持ちダウンロードしておいたお気に入りの先生の小説の新作を読み始めた。
「そろそろかな?」
トキノリがそう言うと警告音がブリッジに響き渡る。
トキノリが警告音を解除すると万能戦艦雪風は通常空間に復帰した。
「現在地はと・・・」
現在地を確認すると目標地点とほぼ誤差がないことが確認できた。
精度の悪いワープ装置を搭載している艦では目標地点と全然違う場所に出ることも少なくない。
それを考えるとこの船に搭載されているワープ装置は優秀であることがわかる。
「流石に80京もした船だ。これならばしばし働けるな」
だが、呑気なことを言ってられるのもそこまでだった。
「なんだ?レーダーに反応?こんなところで・・・?」
レーダーを確認すれば1隻の宇宙船を複数の船が追いかけていた。
そして次の瞬間、状況を理解する。
「救難信号か・・・。無視するわけにもいかないな」
救難信号を見た者は可能な限り救援する。
これは宇宙船乗りの鉄則だ。
前の船ならいざ知らず、この船は武装も充実している。
「いきなり戦闘になるかもしれないがいざ行かん!」
トキノリは出力を戦闘状態にまで上げてアクセルを全開にして突っ込んでいった。
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