第2話 習得! 日用品マスター(笑)

 玄関扉をそっと閉じた俺は、ダッシュでPCに戻ってスレに書き込んだ。




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62:名前:隔離ニート

おい! ゴブリンいたんだけど! 玄関開けたらゴブリンいたんだけど!


63:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

そらいるやろ


64:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

お前はさっきまで何を聞いてたんだ


65:名前:隔離ニート

いやこれはダメだろ! 玄関扉空けて一歩のところにいたんだぞ! 詰みじゃんそれは!


66:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

武装はねぇの? 剣みたいなまともなのはないだろうけどさ


67:名前:隔離ニート

バールがあったけど重くて振れないが?


68:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

バールかぁ……まぁ民間人ならこのくらいだよなぁ……


69:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

とりまスキルだろスキル。スキルが当たりならワンチャンあるで


70:名前:隔離ニート

何スキルって


71:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

これ

URL:https://www.skillstatus.×××/


―――――――――――――――――――――――――――




 俺は言われたURLを踏む。アプリのダウンロード画面。俺は一縷の望みをかけて、アプリをダウンロードした。


 ダウンロード完了、インストール完了。俺はスマホを連打して、アプリを起動する。


 アプリは簡素な造りで、以前触った政府が作るタイプの雰囲気があった。『スキルを習得する』というボタンがあったから、俺はそれをタップする。




―――――――――――――――――――――――――――


72:名前:隔離ニート

早速入れたぞ。これどうなるんだ


73:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ちょっと待ってりゃアプリ内の魔法が作動して、イッチのスキルを目覚めさせてくれるぞ


74:名前:隔離ニート

魔法と科学が絡み合う……ってコト!?


75:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

お前実は余裕あるだろ


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 待っていると、スマホ画面にいかにもな魔法陣が広がりだした。


 魔法陣が光を放つ。その光に目がくらむ。


 魔法と言うだけあって、スマホ画面から魔法陣の文字が飛び出し、俺の体にまとわりつく。


「うぉおおおおお!? マジか! ガチファンタジー挙動してるこのアプリ!」


 かと思えば、魔法陣の文字がアプリの中に戻っていく。『スキル分析中』という文字が出て、俺は待機する。


 これは……アレか。俺のスキルがどんなのか分析してるのか。




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76:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

カススキルこい! カススキルこい!


77:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

イッチのスキルは何やろなぁ。武器がバールでも、技系スキルならワンチャンあるで


78:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

おうお前ら、いいタイミングだしお前らのスキル教えろよ

俺、tier5スキルの「スラッシュ」持ってんで!

百人に一人の逸材や! ニートだけど!


79:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

は? 俺なんてtier1スキル「剣聖」だし

ちな身長五メートルハーバード卒タワマン五百階住み


80:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

>>79

清々しいまでの嘘ですき


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 俺は祈る。当たりスキルこい! 当たりスキルこい! 当たりスキルじゃないと死んじゃうぞ俺! 当たりスキルこい!


 それの必死の祈りを受け、スマホは『スキル解析完了』の文字を浮かべる。俺は期待と共に、次の画面を待った。


 次の画面には、こう記されていた。





『スキルを獲得しました! あなたのスキルは


「日用品マスター Lv.0」


です!』




―――――――――――――――――――――――――――


82:名前:隔離ニート

終わった


83:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

カススキルキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


80:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

まずはスキル名発表タイムや


81:名前:隔離ニート

日用品何ちゃら……明らかにカススキルです


82:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

(ノ∀`)アチャー


83:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

乙!


84:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

うわぁ……日用品を使う系のスキルで隔離地域出歩くのやばいな……


85:名前:隔離ニート

チクショォォオオオオオ!


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「チクショォォオオオオオ!」


 俺は頭を抱えてうずくまる。終わり! 閉廷! 俺の人生終わりです! あああああ!


「日用品て! 日用品て! 終わりだ終わり! さよなら! あ、でもバールって日用品かな!? じゃあバール振り回しながら散るか!」


 俺はヤケになってバールを握る。


 すると、スキルがアレほど推されるだけはあって、重くて振るえそうになかったバールが、手に馴染む感覚を抱いた。


 が、そんなもの、今の俺にとっては焼け石に水もいいところ。


 俺は歯を食いしばって、「ゴブリンがなんぼのもんじゃあ!」と玄関扉に向かっていく。




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98:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

アレ、イッチもういない? ヤケ起こしてゴブリンに挑みに行った?


99:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

にしても……日用品かぁ……なかなか厳しいものがあるな


100:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

日用品なんちゃら、って言ってたけど

実際問題、続くワードが何だったら行けると思うよ。スキルtier表的に


101:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

日用品、が頭につくなら非戦闘使い手系スキルだから、tier表で表すとこんな感じじゃね?


【Tier4】

日用品スペシャリスト→ゴブリンと五分五分

―――百人に一人の壁―――

【Tier5】

日用品プロフェッショナル→ゴブリンに惜敗

―――十人に一人の壁―――

【Tier6】

日用品ユーザー→ゴブリンに惨敗

―――常人の壁―――

【Tier7】

日用品ビギナー→ゴブリンに手も足も出ない


日用品でかつ武器がバールってことを想定だと、まぁこんなもんでしょ

非戦闘スキルで低tierなら基本戦えないし

家事とか日常生活とかなら、意味分からんほどすごいと思うぞw


102:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

俺スキル名と強さが分かってないんだけどさ

例えばソードプロフェッショナルとかだとどのくらい強いん?


103:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ソードマン系だと、tier4ならプロフェッショナルじゃなくフェンサーだったはず

フェンサーは強いぞ。そもtier5から上は異能って呼ばれ始めるからな

動きが人間を越えだすのがその辺り


104:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

戦闘職系スキルのtier5以上はガチえぐい。百人に一人の戦闘能力やで


105:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

実力派の有名配信者は軒並みtier5越えてくるもんな

ゴブリンくらいなら軽く切り刻めるし、努力次第でA級冒険者くらいは目指せる


106:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

なぁお前ら

イッチのスキルが、日用品マスターだったらどうよw


107:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

一億人に一人しかいないtier0スキルだったら

日用品だろうが何だろうが大丈夫だろwwwww


108:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

まだ日本にはマスタースキルいないからな

イッチにもワンチャンあるでwwwwwww


109:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ねぇよwwwwww

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