他人事オートバイオグラフィー - 幸せになるまでに

@ocean_sampo

第1話

自分の実の父親の顔は高校生になるまで知らなかった。


———-

ある日トイレに入っていたら、突然ドアが開いた。


子供の頃。まだ小学校低学年だったと思う。


その人は「ちゃんと拭きなさい。」や「中に入る時は鍵をかけなきゃダメじゃないか、」と狭い個室に入ってきているのは自分なのにも関わらず、娘でもない私のトイレに入ってきた。

あまりにもショックで驚き過ぎて何が起こっているのか分からないまま、ちゃんと拭けと言われたんだから見られてたんだろう。

おぞましい。


言葉も発せず固まった。


遠くから母親がその人を呼ぶ声がした。


何食わぬ顔して去った。



大嫌いな人。



母の再婚相手。



姉は可愛く、気に入られていた。

殴られて育ち、姉のように調子よく立ち回れなかった私はアトピー性皮膚炎もあったこともあり可愛くなかったのだろう。



母親は自分が幸せになることに必死で、自分中心。

子供がどんな仕打ちを受けてるか、気付きもしない。



その再婚相手の実家に行った。


その母親も最悪だった。


猫アレルギーがありそばに寄っただけ、いや、猫のいる家に入っただけで呼吸困難になる喘息の私を邪魔者にした。

姉は可愛がられた。


私は猫よりも下に扱われた。


喘息を起こす私が悪いそうだ。



最悪の老婆。



ある日我が家にその継祖母が来た。


夜にもなったので私はお風呂に入った。



親子なのだろう。あの輩にしてこの婆。


その人は風呂場に入ってきた。 突然私のいるお風呂場のドアをあけた。


そして…


「汚い、汚い、こんなのこすればちゃんと落ちるんだ」、と、アトピーで色素沈着してしまっていた私の腕を、ガサガサの垢すりで擦り始めた。



声が出せなかった。

何のことを言っているのか何をやられているのか分からなかった。

だって、アトピーはどぉいうものか当然皆知ってるものだと思ってたから。


母側の祖母も来ていたのだが、何か気配を感じて飛んできてくれた。

「何やってるの!!!」

「落ちるものじゃないんだから!!」


再婚相手の親を叱りつけてくれ、私をゴシゴシ擦っていたその手を掴んで止めてくれた。




守ってくれたのは祖母だけだったな。



結局その再婚相手は職場で浮気をして出て行った。


街中でもしも会ったら。。やられたことを言おう。 その親にもやられたことを言おう。


頭の悪い人たちだったんだ。


その人と母が別れた後、ようやく私は実の父親と会うことが出来た。

十何年ぶり。

親の離婚後、一度も顔を見たことが無かった。

会ったこともなかったけれど、写真すらも無かった。


2個上の姉は父親を覚えていたらしいが、2個下の私は彼の顔は覚えていない。

記憶があるのは夫婦喧嘩のシーン。

血を流しているシーン。

子供の取り合いをしているであろうシーン。

修羅場のシーンで顔は見事に無かった。


二度目の父親の記憶はできる限り無くしている。 今の時代なら虐待親。

物凄く意地悪だった。 イジメだった。

別れてくれて良かった。


あの人が居た間は良いことは何も無かった。

別れてくれて良かった。

毎日良いことはゼロ。とても辛いのに、たまに家族で出かける時は楽しそうにしないといけないのかと

何か人の人生を生きているようだった。





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