滅葬のブラッドアームズ

夢咲蕾花

雷光のブリッツ

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 ――怪物と戦う者は、自らが怪物とならぬよう心せねばならない。


 何故なら、


 お前が深淵を見つめる時、深淵もまたお前を見つめ返すのだから――


     ◆


 西暦二〇二六年、ヨーロッパ地方にそいつらは現れた。


 人畜に吸血行為を行い、干からびたミイラのように変じさせるその習性からいつしか『ヴァンパイア』の名で呼ばれるようになった彼の怪物たち。


 やつらはたった二十六年の間に世界中を蹂躙し人類が築き上げた文明を破壊し、食物連鎖の頂点を人間から簒奪した。


 人類はこの脅威に立ち向かうため――日本の関東某県に本拠を置く製薬会社『姫宮堂』が秘密裏に生み出した人間兵器『ダンピール』の存在を容認。


 姫宮堂は生き残りのネットワークを手繰り寄せ新たに新世界統制機関『血盟騎士団けつめいきしだん』を結成し、名実ともに新世界の主として君臨した。


 ヴァンパイアの血を希釈し、調整したそれを投与した人間はダンピールと呼ばれる新人類となるだけではなく、各々の魂の根幹に根差した武器と異能を手に入れた。


血武装ブラッドアームズ』だ。


 ダンピールたちはそれぞれに目覚めた血の力・ブラッドアームズを手に、今日も仲間と共に荒廃した世界を駆け巡る。


 それが彼らに課せられた役目であり、任務であり、全てだからだ。


滅葬めっそう』せよ。


 脅威を、怪物を、ヴァンパイアを、人類の敵を滅葬せよ。


 血に刻まれた使命――滅葬を果たせ。


 これは血の物語。


 血の轍を辿る、ダンピールたちの物語だ。

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