5秒で告白

@megyo9

第1話プロローグ

「好きです!」


公園に男の声が響き渡った。


「えっ・・・?」


対峙している女性は目を丸くしている。


「私たち、さっき会ったばかりですよね・・・?」

「・・・」


「どこかでお会いしてましたか・・・?」

「・・・」

「あ、もしかして!」

「!?」

「小さい頃あなたに助けられた・・・。ある雨の日、足を滑らした私は川に溺れて・・・もうダメだと思っていたところ、あなたに力強く引っ張られた・・・。」

「それなんて千尋?」

「あはは、あなたはハクだね。で、前に会ったことありました?」

「・・・いえ、初めてだと思います。ただ、あなたに告白をしなくてはいけない、急にそんな気持ちになって・・・気がついたら・・・。」


この男、碧川悠人(あおかわ ゆうと)はいたって真面目な顔をして、しばらくの沈黙の後に言葉を告げた。

女性はなおも戸惑っている。


「えっと・・・一目惚れということでしょうか・・・?」

「そうかもしれません・・・。あっ、すみません、突然こんなことを言われても困りますよね。本当にどうしたんだろう。考える前に動いてしまったというか・・・。」


碧川は顔を真っ赤にし、慌てて言葉をつなげる。

女性も釣られて少し頬が赤くなってきていた。


「ほんとにすみません。でも嘘や冗談でもなく、本当のことです。あなたのことが・・・す、好き・・・?」

「なぜ疑問系・・・?」


碧川の言葉は徐々に勢いがなくなってきた。

なんだかよくわからない状況ではあるものの、碧川の様子を見ているうちに悪い人ではないと感じたのか、女性は警戒を緩めた。


「・・・突然でどうしたら良いのかわからないのですが、とりあえずお友達からで。」


碧川はこれまでの人生で感じたことのないような喜びと緊張からの解放を感じ、満面の笑みを浮かべた。


「ありがとうございます!」


深々とお辞儀をした。

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