第2話
ソフィアの去った後、モブおじとセシリーは、魔法についてのトレーニングを始めていた。
「ヘイ、セシリー。魔法の使い方を教えて」
「何か、その言い方、ムカつくわね」
モブおじは、舌を出して
「さっきも言ったけど、イメージを
「
「アニメの見過ぎ。初心者のへなちょこ魔法で
「では、
モブおじは、目を
すると次の瞬間、ポンという音と共に可愛らしい
「おおっ」
「おおっ、じゃないわよ。全然ダメじゃない」
「俺からしたら、魔法が使えただけで驚きだ」
「それは、そうかもしれないけど――。
「確かにそうだ。OK、セシリー。他の魔法を教えて」
「もしかして、バカにしてる?」
こうして二人は、役に立ちそうな魔法を
そんな中、使えそうな魔法を一つ、発見する事が出来た――手を武器に変える魔法である。それは、自身の手を流体金属に変えるイメージを浮かべつつ、刃物やハンマーに変化させるものである。この魔法であれば、事前に準備する事が可能であり、発動の遅さを補完出来た。
また、魔法ではないが、ブレスが使える事も分かった。これは、モブおじの転生先の体が持つ特技であり、炎と吹雪のブレスを吐く事が出来た。
「これなら、ここを脱出する時、何かの役に立つかもしれないな」
「そうね。あの
二人の会話が
「また、誰かが来るわ」
モブおじ達は、再び透明化し、身を
「さっさと入れ」
「痛い」
程なくして、ソフィアが
「
戻ってきたソフィアは、
「おい、何があった? ドロドロじゃないか」
「だ、大丈夫です」
「とても大丈夫には、見えないわよ」
「そんな事より、体を
「お、おい……、ふらふらじゃないか……」
「少し
ソフィアは、この話題を明らかに
「体を洗うので後ろを向いていて下さい」
「あ、ああ。」
――こんな冷たい水で……。
モブおじは、少し
ソフィアが身を
「場違いな綺麗な
「ふー。服も早く洗ってしまわないと」
声が
「そ、そうだ。良い事思いついた。洗い終わったら教えてくれ」
「もう終わりますけど……」
「そっち向いて良いか?」
「はい」
モブおじが振り返る。
そこには、手で胸を隠す美しい少女の姿があった。
一瞬、その光景に目を
そんなモブおじを不思議そうにソフィアが見返していた。
「ああ、そうだった。見てろー」
モブおじは、
「すごい! それに
「だろぉ~」
モブおじは、
――5分後――
「ぜいぜい……」
「吐き続けたら、そりゃ、そうなるでしょう」
セシリーがツッコミを入れる。
「もう十分ですよ」
「しかし、まだ――」
モブおじは、
「だったら、モブおじさん、ちょっと後ろを向いていて下さい」
「うん?」
首を
「えいっ」
「うわーっ! おい!」
ソフィアがいきなり背後から抱きついてくる。
「これなら暖かいです」
「おい。これでも中身は、オッサン――つまり、男なんだぞ」
「
「そんな訳には――」
何かを言いかけたモブおじであったが、冷たくなっているソフィアの腕に触れ、その言葉を飲み込んだ。
「分かったよ。じゃぁ、今度は、お前が反対を向け」
「えっ? 何でですか?」
「毛玉みたいな体だ。こちらが抱き着いた方が、はるかに暖かい」
気付けば、セシリーがゴミを見るような目でこちらを見ている。
「変態」
「仕方ないだろう。
「どうだか」
「私は
ソフィアは、そう言いながら背を向ける。
モブおじは、
「ひゃぁ! くすぐったい」
「す、すまん」
「でも、暖かいです」
「なら、良かった」
モブおじは、彼女の冷え切った二の腕を
「私、
「貴女、ちょっとチョロ過ぎ。気を付けなきゃダメよ。男なんて、皆、狼なんだから。これだって、どんなドエロい
「お前なぁ~」
「仮にそうだったとしても
「そんな悲しい事言わないでよ……」
「でも、お二人が優しい人だと、私は信じているんです。最期の時に
「
「私にとっては、大事な事です」
「しかし、もっとこう、ここから出して欲しいとか――」
気付けばソフィアは、
「
「だな」
モブおじは、やり切れない表情を浮かべていた。
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