【第2章】初めての調査

午後の光が淡く差し込むバスの車窓からは、幾重にも連なるビル群が小さく後退していった。

スーツ姿のビジネスパーソンがせわしなく通りを行き交い、信号待ちの間もスマートフォンを手放さない。

そんな都会の喧騒とは裏腹に、不破 廉の胸には、朝からずっとくすぶり続ける緊張が張りついていた。


「例のビルは、ここから歩いて十分くらいだったよな……」


バスの案内放送が次の停留所を告げると、廉は背中に背負ったリュックの肩紐を少し締め直す。

通路側の席から立ち上がり、降車ボタンを押すと、やがてバスが停止し、自動ドアがゆっくり開いた。


足を地面に下ろしたとき、冷たい風が一瞬頬を撫でる。

朝のうちに降った雨の名残か、歩道のタイルにはまだ水滴が残っていた。

上空は薄雲が重なっているが、晴れ間も見え隠れしている。

これくらいの天候なら、急な豪雨や強風は起こりづらいだろうと、廉は自分に言い聞かせる。


今回訪れるのは、先日「建物内部で突如洪水が発生した」と報じられたビルだ。

被災者は数名にとどまったものの、「ほんの数分で大量の水が階上から流れ込んできた」との証言が出ており、ニュース映像でも建物内に漂う水や、壁際にへばりついた藻のような痕跡が映し出されていた。

通常の水道管破裂などでは説明のつかない現象だと一部で話題になっていたが、専門家によるはっきりした見解は示されていない。


「局所洪水……Calamitiesと呼んでいいのか、まだ断定はできないけど、もしそうなら何かしら痕跡が残っているかも」


廉は歩きながら、スマートフォンにまとめているメモをざっと確認する。

目指すビルはニュース映像で見た通り、外壁の一部が茶色く変色しているはずだ。

ふだんから多くの人が出入りするオフィスビルという話だったが、今は立ち入り禁止措置が取られているらしい。

もちろん勝手に中へ入るわけにはいかない。しかし、建物周辺を一目見るだけでも、何らかの情報が得られるだろう。

ひょっとすると、災害の痕跡は外壁や排水路、排気口などにも残っているかもしれない――そんな期待に突き動かされて、彼は足早に歩を進めた。


ほどなくして、目的のビルが見えてきた。少し古びた外観で、十数階ほどの高さ。

入り口付近には、工事用のカラーコーンやガードテープが張り巡らされている。

何人かの警備員が厳しい表情で往来を監視しているようだった。

どうやら思ったより警戒が厳しそうだが、周囲を見渡すと、野次馬などはいない。

すでに報道は下火になったか、あるいは社会がCalamitiesに慣れてしまい、小規模な被害なら大きく取り上げなくなったのかもしれない。


廉は警備員からあまり怪しまれないよう、建物の正面ではなく脇道へ回り込んだ。

周囲をよく観察すると、ビルの一角には小さな広場のようなスペースがあり、コンクリートのブロック塀と隣接する建物の壁とのすき間に、裏口へと通じる搬入口があるのが見えた。

そこも立ち入り禁止のテープが張られているが、警備員の姿は見当たらない。近づきすぎるのはリスクがあるが、せめて外側から覗き込むくらいはできそうだ。


「雨水や泥の痕跡が残ってるかもしれない」


廉は心臓の鼓動が少し早まるのを感じながら、足音をできるだけ立てないように搬入口へ歩み寄る。

地面にはまだ乾ききっていない水溜まりが点在し、泥がくっきりと残っている。

そこにはタイヤの跡のようなものも混在していたが、よく見ると何か粘性のある薄緑色の物質が付着している。

「藻のようなもの」という報道を思い出した廉は、膝を折り、その痕をじっくりと観察する。

触るのは躊躇われるが、スマートフォンのカメラで数枚撮影し、拡大表示すると、繊維状に細かく絡み合った何かが見えてくる。


(藻……にしては変だ。まるで半透明の繊維のかたまりが水溜まりの縁にこびりついているみたいだ)


環境調査を専門とする研究機関にでも持ち込めば、成分分析ができるかもしれない。

だが、素人が下手にサンプルを採取すると証拠隠滅や不法侵入など問題になる可能性もある。

廉は躊躇した末、スマホで撮影した画像をじっくりと保存しつつ、持参したメモ帳に簡単なスケッチと所感を書き留めていく。


「なんだ、おまえ……。こんなとこで何してる」


不意に低い声がして、思わず背筋が凍った。振り返ると、警備員と思しき男性が一人、立ち入り禁止のテープの向こうからこちらを睨んでいる。

年配だが体格がよく、硬い表情は「怪しいやつ」と決めつけるには十分だ。


「えっと、その……すみません。ちょっと興味があって、ニュースを見たもので」


廉は慌てて頭を下げる。警備員は舌打ちするような仕草でこちらを見下ろし、テープの内側から警戒心をあらわにしたまま言った。


「ここは立ち入り禁止だ。さっさと帰れ。藻かなんか知らんが、触って変な病気にでもなったら自己責任だからな」


廉は申し訳なさそうに会釈しながら、その場から立ち去らざるを得なかった。

警備員が追い払うような視線を向けてくるのを背にしつつ、道路へ戻る。

やはり個人で動いていては、これ以上の詳しい調査は難しそうだ。

かといって、このまま引き下がっていては何も分からない。

消化不良のまま現場を離れるのが惜しいと思った瞬間、彼は不意に誰かの視線を感じた。


ちらりと周囲を見回すと、すぐ隣のビルの出入口付近に、白衣のようなものを羽織った若い女性が立っている。

黒縁メガネをかけ、やや大きめのリュックを背負い、興味深そうに廉の方を見ていた。

研究者か医療関係者かとも思えるが、彼女は廉と目が合うとにっこり微笑む。


「災害のこと、調べに来てるの?」


唐突に話しかけられ、廉は少し警戒しつつもうなずいた。

すると彼女は小走りに近づき、周囲を気にするそぶりを見せながら、低い声で続ける。


「立ち入り禁止区域だから、あんまり中は見られなかったでしょ?

私もちょっと……あの藻みたいなやつが気になっててね、周辺だけでも検分しようかと思って来たの」


廉は思わず相手の胸元を見たが、名前の書かれたタグや企業ロゴなどは付いていない。

彼女の白衣らしきものは簡易的なガウンのようにも見えるが、さほど汚れている様子もない。

かといって、何のためにこんな場所で観察をしているのかは分からない。 


「災害調査の専門家か何かですか? 大学の研究員……?」


「そういうわけでもないの。まあ、いろいろあって。

わざわざ自己紹介するほどでもないんだけど、あなた、相当熱心に写真撮ってたし、興味があるのかなって思って」


曖昧な答えに不審感はあるものの、彼女の言葉や表情にはどこか親しみやすさがあった。

少なくとも敵意は感じられない。廉は意を決して「ええ、ちょっとこの建物に起こった洪水の痕跡を調べたくて」と正直に答えてみた。


「そうなんだ。やっぱり、あの“藻みたいな痕”が気になるの?」


「はい。ニュースでは藻のようだって言ってたけど、実際は何だか違うというか……あんな粘性のある繊維状のものを見たことがなくて。

もしかしたらCalamitiesに関わる未知の生物かもしれないって思ったんです」


言葉にしてみると、我ながら突拍子もない推測だと思う。

だが相手の女性はまったく笑うことなく、逆に真剣な顔つきでうなずいた。


「もしかしたら、当たってるかもね。あのビルで起きた現象には不可解な点が多い。

私も別の現場で似たような痕跡を見たことがあるのよ。局所洪水が発生した場所でね」


「え……本当ですか?」


思わぬ言葉に廉は目を見張った。彼女はやはりただ者ではない。

かといって、そう簡単に名乗ってくれる様子もないし、研究者なのか、あるいは民間の調査会社なのか、想像が尽きない。


「あなた、名前は?」


「不破 廉です。大学生で、天気予報士の資格を取ろうとしてるんですけど……最近の異常な災害がどうにも気になって、独自に調べてるというか」


「不破……そっか。私は……そうね、あえて名乗るならマキってことにしとくわ」


「マキさん、ですか」


それが本名かどうかも分からないが、廉はひとまずそう呼ぶことにした。

マキと名乗った女性は、周囲を再度見回してから、ビルの横手にある非常階段を指差す。


「ここからだと、外壁沿いに回り込めるし、二階の窓までならぎりぎり覗き込めるかも。

警備員も正面や入口付近を重点的に見てるだけで、わざわざこんなところは回ってこないはず」


「いや、でも……立ち入り禁止区域ですよ。警備員に見つかったら、さっきみたいに追い出されるだけじゃ済まないかも」


「確かに。でも、あなたも見たいんでしょ? 局所洪水の痕跡を。私も同じ。実際に見なきゃ分からないものがある。

大げさに言えば、命がけでも手に入れたい情報ってこと」


マキは冗談とも本気ともつかない言い方で微笑んだが、その瞳には強い意志が宿っているように見えた。

廉は一瞬逡巡するものの、ここで踏みとどまるか、あるいは進んで確証を得るか――その選択を迫られている気がした。

いつも慎重な彼としては、いきなり知らない人と違法すれすれの行為に及ぶのは抵抗がある。

だが、Calamitiesの謎を解き明かしたいという思いはそれ以上に強い。


「わかりました。可能な範囲で、少し外壁を見てみます。無理だと思ったらすぐ引き返しますから」


「いいね。じゃあ、気をつけて行きましょう」


マキの声に背中を押されるようにして、二人はそっと非常階段の下へ向かった。

階段は鉄骨むき出しで古びた塗装が剥がれかけており、踏みしめるたびにギシッと嫌な音がする。

ほんの少しでも大きな音を出せば、警備員に気づかれるかもしれない。

廉は息を殺すようにして足を進めるが、同時に心臓の鼓動は高鳴っていく。


やがて二階に達し、壁際にある狭い通路のようなスペースへ抜ける。

そこは普段ならビルの清掃員やメンテナンス要員が使うルートなのかもしれないが、立ち入り禁止のテープや注意喚起の掲示が貼ってある。

マキは身軽にテープを避けながら、こじ開けるように狭い隙間をくぐり、二階の非常口ドアの前まで移動した。


「……鍵、かかってるね。まあ入るのはやめとこう。私たちが今見たいのは内部じゃなくて、外側に残ってる痕跡でしょう?」


マキは細長い懐中電灯のようなスティックを取り出し、ドアの下端や壁の隙間を照らす。

廉もスマートフォンのライトで手元を照らし、一緒に観察を始めると、そこには先ほど見た薄緑色の繊維状のものが、よりはっきりした形で付着していた。

水で流されたのか、一部は乾いて固まっているが、指先で触れれば崩れそうなくらい繊細な構造をしている。


「……これは藻とはまったく違う。もっと有機的というか、うまく言えないけど……」


廉がため息をつくように呟くと、マキも神妙な顔つきでうなずいた。


「私が前に見たのは、もう少し液状に近かったんだけど、もしかすると時間の経過で乾燥して固まったのかもしれない。

こういうサンプルを専門機関に持ち込めればいいんだけど、公式にはまだ“災害の調査中”ってことで、素人が触れないように徹底してるみたい」


「ええ、僕も何か方法があればとは思ったんですが……。さっき警備員に睨まれて、写真すら満足に撮れませんでした」


「私も似たようなもん。大っぴらには動けないのよね。でも、この姿かたちを見る限り、ただの水道管破裂や雨漏りでは説明できない。

あまりにも不自然。この繊維状のもの自体が、水を引き寄せた可能性も考えられる」


「水を……引き寄せた?」


その発想は廉にとってもまったくの盲点だった。彼はマキの表情をまじまじと見つめる。

マキは肩をすくめつつ、あまり大げさにならないよう気をつけるように小声で話を続けた。


「ほら、例えばクラゲのように、体の内部で水分を保持したり特定の物質を放出したりする生物は地球上にいくらでもいるでしょう?

もしこの繊維状のものが、建物内部にあった水道の水や空気中の水分を急激に凝縮させて流入させる役割を持っていたとしたら……洪水に近い状態を作り出すことも不可能じゃない」


「……マキさん、すごい発想ですね」


感心半分、驚き半分の顔をする廉に、マキは少しだけ複雑そうな顔を返した。


「局所洪水とか局所竜巻とか、最近あまりにも理屈に合わない災害が多いでしょう?

“生物由来”と考えれば辻褄が合うケースがいくつかある。でも、そんなのは公表したら笑われるだけだし、下手すると危険視される」


「Re:Gene社が昔、同じような発表をして……世間から嘲笑されましたよね。結局、会社は没落してしまった」


「ええ。でも、だからこそ、今もこうして動いている人たちがいるんじゃない?」


マキのその言葉に、廉は思わずドキリとした。かつて、両親もRe:Gene社の研究に携わっていたという話を、断片的に聞いたことがある。

しかし、それを世に示そうとしたとき、周囲からは相手にされず、一方で企業内部では不穏な動きがあったとも聞く。

両親が亡くなったのは震災によるものだとされているが、実際にはその研究と関係があったのではないかという疑いを、廉はずっと胸の片隅に抱えていた。


視線を下に落とすと、この不気味な繊維状の残骸が、まるで彼に何かを訴えかけているかのように見える。

彼はスマートフォンを取り出し、細部が分かるよう何枚も写真を撮るとともに、慎重に外壁や床の状態をメモし始めた。マキはその様子を静かに見守りながら、あえて口出しはしない。


「……こんなとこにいたのか、何をしている!」


突然、鋭い声が二人の背後から響いた。

驚いて振り返ると、先ほどの警備員よりもさらに屈強そうな男が、苦々しい表情で立ち入り禁止のテープの内側に立っている。

眼光は厳しく、二人を捕まえる気満々といった様子がありありと伝わってきた。


「やばい、見つかったね。ここはもう退散するしかないわ」


マキは慌てた風もなく、淡々と非常階段の下を指差して廉に合図する。

廉は喉がカラカラになりながらも、メモ帳とスマホを抱えてマキの後を追う。

警備員は「待て!」と叫ぶが、テープを越えるには回り道が必要らしく、即座には追ってこられないようだ。


よろめくように階段を駆け降り、建物の外周をぐるりと回り込むと、足早に大通りへと逃げ込む。

二人は人混みに紛れ込みながら、一気に数十メートルほど離れた場所まで走り続けた。

心臓がドクンドクンと鼓動を早め、呼吸も荒くなる。やがて一息ついたところで、マキは苦笑混じりに、


「ごめんね。巻き込んじゃった。大丈夫、捕まったりはしないはず。あの人たちも違法侵入で騒ぎたくはないだろうし」


と言う。廉は手を膝につきながらゼェゼェと息を整えつつ、ぎこちなく笑った。


「まあ、無事に逃げられただけでもよかったですよ……。でも、助かりました。マキさんのおかげであの外壁の痕跡も写真に収められたし」


「一応、私も調査の一端を担ってるつもりだからね。あなたの情報交換にも協力できるかもしれない。……連絡先、交換しない?」


マキはそう言ってスマートフォンを取り出すと、廉に画面を見せる。

連絡先を交換するということは、それなりに互いを信用する意思表示でもある。

先ほどまで警戒していたはずの廉だったが、彼女の落ち着いた笑顔を見ていると、少なくとも悪意は感じない。

それに、こんな危険な橋を渡ってまで調査をする人物には、めったに出会えないだろう。


「はい、ぜひお願いします。あの藻みたいな繊維のこと、もっと調べたいですし」


そう言ってスマートフォンを取り出し、QRコードを読み取り合い、二人は連絡先を交換した。

名前の欄には「マキ(仮)」とだけ登録され、職業も所属も書かれていないが、廉にとっては大きな一歩だった。

ひとまずここで別れを告げようという雰囲気になり、マキが「じゃあ、またね」と手を振る。


「そうだ、もしその写真を分析する機会があったら教えて。何かわかったらこっちも情報提供するから。

あなたがどういう経緯でこれを追ってるかは詳しく聞かないけど、気をつけてね。災害だけじゃなくて、人間の方が怖い場合もあるから」


最後の言葉に、どこか意味深な響きを感じた。

彼女が言う「人間の方が怖い」というのは、何を指しているのだろう。

Re:Gene社や、かつての研究者たち、あるいは他にも暗躍する組織があるのか――廉の頭にはいくつもの疑問が浮かぶが、問いただす前にマキは足早に通りの向こうへと姿を消していった。


廉はしばらくその背中を見送ってから、大通り沿いのベンチに腰を下ろす。

荒い息を整えつつ、先ほど撮影した写真をざっと確認する。やはり奇妙だ。

この得体の知れない繊維状の残骸、そして局所洪水という現象。

これまでの常識的な自然災害の範疇を超えているとしか思えない。

もしマキの推測の通り、「生物的な要因」があるのだとしたら……?


「ただの陰謀論で済ませられないな、これは」


思わず独り言がこぼれる。

両親の研究や、Re:Gene社の動向などと関係するのかもしれないと考えると、血が騒ぐような感覚を覚える。

妹の凛なら「危ないからやめてよ」と言うに違いないが、この目で見てきた以上、もはや調べない選択肢はなかった。


「これが、初めての本格的な調査ってことになるのかな」


先ほどの警備員とのやり取りを思い出し、まだ肝が冷える思いもあるが、どうにか大きなトラブルにはならずに済んだ。

これからはもっと慎重に、しかし確実に証拠を収集していく必要があるだろう。

災害の法則を探り当てるためには、こうした実地調査が欠かせない。


廉はもう一度深呼吸して立ち上がった。

財布の中には切り詰めて買い集めた書籍や資料のレシートが何枚も詰まっているが、今のところ目に見える成果はない。

それでも、ビルの外壁に残るあの不可解な痕跡を目にしたことで、彼の中の確信が少しずつ固まってきているように思えた。


「Calamitiesは、きっと自然の摂理だけじゃ説明できない。そこに何か……人知を超えた意志や存在が絡んでいる」


その存在こそが、この災害多発の時代を根底から変えるかもしれない。

あるいは人々の運命を大きく狂わせるかもしれない。

そんな予感に突き動かされるように、廉は再び歩き始めた。


夕暮れの街へ向かう雑踏の中、無防備なままの人々が行き交う。

誰もが普通の生活を送りたいと願いつつ、いつ起こるか分からない災害におびえ、やり過ごす。

だが、もし本当に“生物的な原因”があるのだとしたら、警戒すべきは地震や台風といった自然現象だけではないだろう。


これから先、廉はますます危険な領域へ足を踏み入れることになる。

凛を心配させるに違いないし、周囲に迷惑をかける可能性もある。

けれど「やるしかない」という思いが、彼の背を押してやまない。


スケジュールを確認すると、次に向かう予定の被災地は、先日の局所台風が起こった区域だ。

そちらではまだ調査が続いていると報じられているが、果たして突き止められることはあるのか。

さまざまな不安を抱えながらも、廉はその足を止めない。


誰もが理不尽な天災を前に祈りを捧げるしかなかった時代。

しかし、もしそこにロジックがあるならば、彼は必ず辿り着くつもりだ。

すべては、二度と大切な人を失わないために。

兄妹が手にしている小さな生活の光を、災害に奪われるのは、もうたくさんだと思うから。

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