薄ら夢
一葵
第1話
朝起きたらもう夢が覚めた頃だった。
うちはいつ夢を見たのだろうか…そんなこと覚えちゃいないほど、忘れている。否、忘れているのかどうかもわかってない。
うちは精神病を患っている。なんの病気かは、とうに忘れた。それだけで別に今の生活には支障はなく、気にせずに生きていけるほどの病気だろうと甘く見てる。
「はぁ、今日も今日とて、うちの朝はこんなに虚しく迎えるんだな…悲しいやら、虚しいやら、なんやらで困っちまうよ。」
ぼそりとそれを呟き、ふと時計を見た。時間は10時…別にこれといって予定は無いし、布団から出て軽く身支度して、テレビつけてみればいいだけで、この日常は事足りる。
重力に駆られた重たい体を起こしてロフトから降りた後、うちは洗面所に向かう。ワンルームの部屋でたいして物は置いてない。女の子の部屋にしては幾分か殺風景な部屋である。
別に物置かないし、何が好きでもないし、アニメとか見た事も、漫画を読んだこともない。小説なんて、文字が多すぎて読めない。教科書も嫌いだから高校卒業してからすぐに燃えるゴミに出した。
活字ってなんであんなに頭に訴えかけてくるのだろうか…
あまりにうざったらしくて、うざったらしくて、困る。
そんなことを考えながら、ぼーっと身支度を済ませた後、ふと、うちは気づいた。
「あ、昨日お風呂入ってないや。」
風呂に入ることすら、うちは忘れたのか。そろそろやばいな…認知症とかじゃないよね?あー怖。人生何があるかたまったもんじゃないね。
服を脱いでシャワー室に行った。ユニットバスだから、なるだけトイレ近くの床は濡らしたくない。
カーテンを閉めて、シャワーの栓を捻った。シャワーヘッドから勢いよく水が出てびっくりしたが、だんだん温水へと変わっていった。
「あぁ、気持ちいい…あれ?でも、お風呂ってこんなに気持ちよかったっけ?」
なんか変な感覚に襲われた。でもそれは別にいつもの事だから、放っておいた。
顔から首筋へ、胸元から足首へ、どんどん水が躰を辿っていく。
シャワーを止めて、頭を洗い、躰を洗う寸前で少し昨日見た夢を思い出した。
「あ、あぁ…そういや、結構やばい夢見てしまったんだよなぁ…なんだっけ?自分が誰かと交わってた夢だったかな…」
だけど、その先は思い出せなかった。ただ、それで少し体が火照っちゃったから、内緒の御伽をした。
改めて躰を洗って、シャワーを済ませた。
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