はだしのルーシー 第11話

 ・・・邪神って絶滅危惧種か特別天然記念物なのか?

 「まあ、邪神達とは言っても、邪神と呼ばれているモノの一部じゃがな。

 邪神と一くくりにしているが、 そもそも邪神とはなんじゃ?

 その定義自体があやふやじゃ。

 そもそもこの子も邪神扱いされたが、ワシらが造ったんじゃぞ・・」

「その時に神々ともお互いに不干渉の約束をした。」

「ああ、あのワーウルフは去っていく邪神に引き渡した。

 元々召喚したのはあいつだったのでな。

 ワシらがまた遊びに行くまでは殺さずいたぶるだけにしてくれと言っといた。

 まあ、ルーシーに危害を加えようとした報いじゃな。」

「・・・」

 ルーシーがおずおずと、

「おねいちゃん・・。」

「ルーシー、やっと、あたしをおねいちゃんと呼んでくれたね。」

「だって、恥ずかしかったの・・

 ねえ、いつかまた、おねいちゃんとルーシー旅がしたい・・」

「いいよ、飽きるまで生きて、そして、旅をしよ。」

「ルーシー、そろそろだぞ。」

 ハカセの声がする。

「世話になったの、そして、すまなんだ。

 今回の礼はしておいたぞ、帰ったら楽しみにしていてくれ、

 女神も礼がしたいと手伝ってくれたのでな。

 ああ、ルーシーが使った魔法、お前も使える様にしといた、サービスじゃ。」

「いらんわ、あんな自爆魔法。」

 ふと、

「ルーシー、貴女なんであの靴一日しか履かなかったの?

 買ったときあんなに気に入っていたのに。」

「あのね、ルーシー広げた時に、靴も星空の色になったのが悲しかったの。」

 ああ、そういう事か

「時間じゃ。」

「ピッ」

 短い電子音の後、初めて聞く声がする。

 いや聞いたことがある。

 ヲタクの声だろうか。

「ルーシー、それなら靴底に穴を開けたらよかったんじゃない?

 どうせ穴を開けてもお前じゃあ雨漏れとかも関係ないし・・」

 ルーシーは小首をかしげて、その手があったかとハッとして口を開けた表情のまま

ふっと消えた。

「行っちまったか、最後まで騒々しい奴だったな。」

 何時の間にか傍らにレムスがいた。

「そうね・・帰りましょう。」

    星空

 その晩、アリウスに着く二人。

 両軍はお互いの情報交換を行う名目で、その場で宴会が始まってしまった為、

付き合いきれずに、マーサと先に帰って来たのだ。

 レムスとアルは引き止められて残っている。

 近所まで来ると家の方が、何か騒がしい。

「あっアリア、」

 近所の人が近寄ってくる。

「お昼ごろ急にあなたの家が光り出してね、火事かとも思ったんだけど、近づけなくてね・・」

 びっくりしてアリアとマーサは人込みをかき分けて近づく。

 結界は異常は感知していない。

 家はちゃんとあるが、様子がおかしい。

 家が薄い紫色をしている。

「オリハルコン・・・?」

 結界は生きている為、周りの人は遠巻きに見ている。

 二人でそっと家に入る。床がギシギシ鳴る。

 あまり密度が無く、延べ板ではなく元々の木の組織そのものが金属に変わったように、スカスカの感じがする。

 家具、風呂、食器、ベッド、シーツやタンクの中の水まで・・

 見て回り、クローゼットの中でルーシーが見つけた少しエッチな下着・・いや、全ての服、下着までオリハルコン・・

「・・・これを・・売れと?・・」

 なぜか、頭の中にルーシーと顔も知らないハカセと女神のどや顔が目に浮かぶ。

 アリアは外に出る。

 玄関入り口で、大声で叫んだ。

「うおーっ! どいつもこいつも、ポンコツ共がーっ!」

 周りにいた人が、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

 泊まるには危険そうなのでマーサは取り敢えず宿舎に帰り、アリアは一人残って庭の、オリハルコン製のハンモックに腰かける。

 ギシギシ鳴るが大丈夫そうだ。

 庭の木は無事だった。

 自分の予備の服などは全てルーシーがそのまま持って行ってしまった。

 明日はまず早速買い物だ。

 頭上の星空を見上げながらアリアは、ハカセの言葉を思い出していた。

 最初の時、ハカセは一生食うに困らない礼をしてくれると言った。

 ハカセは最後あたしに謝った。

 もう冬の入り口にさしかかろうとしているのに今、寒さが全く気にならない。

 ルーシーがあたしを助けてくれている時、ハカセは言っていた。

 人でなくなると・・

 アリアは推測する。

 多分あたしは、人としてはとんでもなく長生きをする事になるのだろう。

 そして、根拠は無いがもう一つの確信、

 何時か結婚して子供産んだら、生まれるのはきっときれいな銀の髪の女の子。

「貴女のママになるなら悪くは無いわね、フフッ」

 なんとなくアリアは満天の星空に向かって、手を伸ばした。

      エピローグ

 それから数年後、アリアの家「立て直し済み2号」。

マーサと数人のシスターに手伝ってもらい、アリアは出産をしようとしていた。

 アリアは、レムスと一緒になった。

 マーサはアルと一緒になり、去年男の子を産んでいる。

 部屋の中で産声が上がる。

「おめでとうございます、聖女様。

 女の子です。素敵な銀色の髪ですわ」

 シスターが言う。

 聖女マーサが産湯につけてアリアに渡す。

「一つだけ残念なのは、誰にも名前を付けることが出来ない事かしらねえ。」

「そうね、もう決っているものね。」

 アリアは少し恐れながら、我が子の顔を見る。

 右眼は・・・左と同じ銀色の瞳。

「ようこそ、ルーシー、これからはずっと一緒よ。

 ルーシーはキャッキャと笑ってアリアを抱くしぐさを見せる。

 窓の外には、満天の星空が広がる。

  




 


 


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