~命の幻(ゆめ)~『夢時代』より冒頭抜粋
天川裕司
~命の幻(ゆめ)~『夢時代』より冒頭抜粋
~命の幻(ゆめ)~
幻想(ゆめ)の幼力(ちから)を借りながらにして俺の心身(からだ)は常識(かたち)を嫌って言葉を失い、遠く離れる空気(もぬけ)の海馬(うみ)へとひらひら零れて成長していた。当ての無いまま自身に彩(と)られる幾多の哀れを感じていながら、催促出来ない煩悩(なやみ)の水面(みなも)に吸い寄せられつつ景色を見定め、後戻りの無い、拙い感覚(いしき)に幻(ゆめ)を観ながら傾くのである。何気に捜せぬ気力の翳りを、日頃に唱えた独言(ことば)を平手に掲げ、幻(ゆめ)の平(たい)らを独創(こごと)に観るうち成長するのを布団の柔らに空転(ころ)がる頃にて表情(かお)を紅(あか)らめ、「明日(あす)」へ呼び込む無垢の共鳴(さけび)は俺の背後へ拙く還る。拙く還った怒涛の感覚(いしき)は丸々これまで培う脚(あし)の痛みを加減へ報せて抱擁している。後ろめたさに髪を引かれて鬢(びん)の辺りが陽(よう)に照る頃、俺に歯向かう現世(うつしょ)の生き血は他人(ひと)へ紛れて生気を改めて、走り書きする俺の手元は胸中(むね)の水面(みなも)を新しくした。
*
『眠る前、二三日前から右の歯茎(奥歯)が痛く晴れ上がり、喉も痛くなって、それが左の方にも伝染したらしく、今度は左の喉の辺りから奥歯に掛けて、頬辺りから喉奥が痛くなった。そのお陰でか、昨日、久し振りに外へ出て、(母さんの誕生日プレゼントにと服、スカーフ等を求めて
*
鼓膜を劈く暗(やみ)に遣られた俺の様子は幻(ゆめ)の許容(うち)にて自力を射止め、求める当てには果ての見得ない血色(ちいろ)の両眼(まなこ)に揺ら揺ら咲いた。幻(ゆめ)の宙(そら)では常識(かたち)を留(とど)めぬ不思議の常識(かたち)が耄碌し始め、陽(よう)と陰(いん)とを可笑しな言動(うごき)にその実(み)を気負わせ、弄(あそ)びも割けない気弱の流行(ながれ)に自ら入れる浅い企画を用意して居た。他(ひと)との景色が一向咲かない脆(よわ)い周辺(あたり)の俺の生気は、如何(どう)にも酔えない未熟の礫が宙(そら)へ目掛けて大手にを振り抜き、揚々焦って活歩(かつほ)して行く気忙(きぜわ)の進路を象り出した。清閑(しずか)な許容(うち)にて、そうしてそろそろ進歩して行く真逆の迷路へ落ちた俺には、他(ひと)の声など聞える間も無く、「明日」と昨夜(ゆうべ)の境界から咲く脆(よわ)い感無(オルガ)を突き止め始め、白亜の気色に人間(ひと)の保(も)ち得る脆(よわ)さを認め、一時(いっとき)から成る純心(こころ)の住処を自信に認め、喧喧囂囂、矢庭に突き出す夜半(よわ)の寝床へ赴き始める固い主観(あるじ)が現れてもいる。寝言を絶やさぬ脆(よわ)い脚力(ちから)の俺の主観(あるじ)は、古来(むかし)に辿れる〝哀れな懺悔〟を真向きに捉え、堂々巡りの旅路(たびじ)へ突き出す汗を掻かない孤独の焔(ほむら)を、気丈に従え横手に携え、「明日(あす)」の住所を俺へ報せぬ無言の優美(ゆうび)に傾いてもある。幻(ゆめ)の共鳴(さけび)が俗世(このよ)の幾何から脱走して活き、黄泉へと下れる白い衣(ころも)に変身した後〝ちー、ちー、〟鳴いて、俺の脳裏と背後に重なる幾何の幾多を現庸(げんよう)していた。現(うつつ)に割かれた〝凡庸(ふつう)の景色〟は自己(おのれ)を絶やせぬ安い気配にその実(み)を敷かせ、孤踏(ことう)から成る不思議の束には現行(いま)を洩らせぬ黄色い木の実がその実(み)を撓(しな)らせ俺まで辿り、昨日に尽した安い小躍(おどり)は頭から観て失(き)え去り出した。白蛇(へび)の尻尾がこの地に涌き出て人へ失(き)える頃、宙(そら)の内(なか)には孤独に呼ばれた空(から)の砦がぽんと浮き立ち、俺の頭上に転々(ころころ)空転(ころ)がる弱味を見せて、明日(あす)の延命(いのち)を今日へ繋げる不思議な小躍(おどり)に夢中であった。清閑(しずか)な個室(へや)には俗世(このよ)に群れ生く人の灯(あか)りが一向差せずに、選り取り見取りの小さな息吹が幻(ゆめ)に紛れて三角頭を上げた。俺の寝床は人工照(あかり)の漏れ出る奇麗な飾りに彩られる儘、人間(ひと)の囃しは自踏(じとう)に敗れて白夜の暗(やみ)へと空転(ころ)がり出した。俺の身辺(あたり)は利損に生き得る脆(よわ)い貴族が戯れ過ぎて、誰一人として留(とど)まる者無く、用事が無いのに俺から失(き)え去る未熟の木霊を結晶化した。孤独の礫を何時(いつ)も投げ遣る悪魔の手先の周囲(まわり)の者等(ものら)は、俺の元へと瞬時に来てのち声を上げるが、その内安(やす)まり、自ら要した自粛を経ると、瞬く間にしてさっと飛び退(の)き、用を足すのに遠回りをする牙など見せ付け知らん顔して、自分勝手に気の好い様子に、騒げる土地へと羽ばたいて行く。
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「そのまま行って、還らなけりゃいいのに」
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俺の心中(こころ)は旋風へと往く仇の思惑(こころ)を見送りながらに見限りながら、小さな爪痕(あと)さえそのまま残らぬ未熟の想いをつとつと吠え立て、陽(よう)の落ちない彼等(かれら)の土地へと嫉妬を掲げて充分怒る。怒(いか)った所で目が肥え、肢体(からだ)が肥えて、奇妙に生育(そだ)てた自尊(プライド)だけ保(も)つ、孤独を怖がる猪突の体(てい)した現代人には、明かりを灯(とも)さぬ独語(ことば)の限りで放(はな)った文句(ことば)は全て逸れ活き俺へと還り、男女(かれら)の酒宴(うたげ)と俺の夜宴(うたげ)は自活を灯して夫々気取れず、互いに疾走(はし)れる岐路に飛び込み二度と見(まみ)えず、「明日(あす)」を嫌える僅かな温(ぬく)みに活き得る夜宴(うたげ)は、白亜と相(あい)せる淋しい帰途へとその実(み)を棄(な)げた。苦労性から痴呆症へと段々化(か)われる身陰(みかげ)の辺りは、女性(おんな)を灯せぬ脆(よわ)い気色に占領され活き、蹉跌を挫ける淡い空気(くうき)に翻弄されて、夜半(よわ)を束ねた人間(ひと)の意識に途方の無いほど蹂躙され行き、「昨日」の朝へとふっと還れぬ、可笑しな独気(オーラ)を掲げ続ける未開の帰途など見詰めてあった。誰も解らぬ記号の体(てい)した俺の文句は初夏(なつ)の景色が衰え始める儚い流行(ながれ)にその身を任され、他(ひと)の気色をそっと離れて自棄に保(たも)てる患いなんかと相(あい)してあった。定めの初めに俺へ付された主観(あるじ)の糧には、「自命(じめい)」と称する頭痛の類(たぐい)がきちんと発され蟠りを観て、人に生れた苦痛の程度を絶命させ得ぬ弱った活路を俺は見出し、朝から夕なに自嘲を擡げる苦しみから見て、自己(おのれ)に彩(と)られた火照りの様子が前後を違(たが)え、自衰(じすい)して行く儚い気色を母の前方(まえ)にて暴いてあった。俺の心身(からだ)は幻(ゆめ)に埋れて見る見る羽ばたき、他(ひと)の合図を口笛から聴く妙な音頭を取らされた儘で、自己(おのれ)の棄(す)て得た残骸(むくろ)の形状(かたち)は、見る見る化(か)われる〝変わり身〟へと利(い)き、蓑に隠した脆(よわ)い感覚(いしき)の歯痛の程度は、暗(やみ)に伏される個人(ひと)の渋味へ還って行った。所々に〝記憶〟が頬張る〝哀れ〟を着飾る無重が落ち着き、相手を成さない幻(ゆめ)の空気(もぬけ)は肩車をして俺へと直り、何の景色も確(かく)して保(たも)てぬ恥を失(け)し生く経過(とおり)の晴嵐(あらし)は、首を擡げぬ〝気性〟を晒せる大蛇と同じに清閑(しずか)に在って、果てを気取らぬ他(ひと)の迷路へ都度都度落ち込む人間(ひと)の〝生き血〟を葬り続けた。淡い記憶が無益に示され、都度都度重なる感覚描写(かんかくびょうしゃ)の儚さだけ見て、言動(うごき)の取れない脆(よわ)い茂みに自投(じとう)して行く身の上描写は、樞(ひみつ)に群がる幻(ゆめ)の行方が吐息に掠れて揺ら揺ら蠢く、人の労力(ちから)を金振(かなふ)り捨てた。脆(よわ)い記憶が幻(ゆめ)の内からきらりと煌(かがや)く無欲の静味(しずみ)に、再び咲き得る俺の感覚(いしき)は独創(こごと)を迷わす気労(きろう)にしょぼくれ、俗世(このよ)の生気に呑んだ暮れに成る個欲(こよく)の懺悔は儚いながらに、「明日(あす)」の欲芽(よくめ)を傍観し得ない夢遊の主観(あるじ)を寝床に呼び込む夢想の記録へ気化して往(い)った。拙く這入れぬ誠を貫く幻(ゆめ)の許容(うち)には、暗くなるまで自活を続けぬ俺の〝帳〟が動悸を鳴らし、返り咲けない無重の重荷を故無く預けた記憶の寝言(こえ)から、取手の要らない幻(ゆめ)の空間(すきま)へ誘(いざな)う扉がぽんと飛び出て俺に現れ、俺の身辺(あたり)を闊歩し得ない草臥れ通せる幻想(ゆめ)を手に取り、慌てふためく双子の記憶は未熟(あお)い延命(いのち)を逆手に着飾り将又騒げる明日(あす)の夜宴(うたげ)へ気品を呼び掛け成熟していた。
色葉歌留多(いろはかるた)の子守歌など、途切れ途切れに幻想(ゆめ)へ絡まり、遠(とお)に吹き止む北の涼風(かぜ)には、晴嵐(あらし)の前夜に轟き渡れる塗装のいきりが突っ立って居た。弄(あそ)び始める俄かの歌留多は、俺の幻(ゆめ)から真綿に包(くる)まり、脆(よわ)い現世(うつしょ)にそこそこ絡める舌の脚色(いろ)から続きを夢見て、黄昏れ始めた普通の文句(ことば)を音波に変えて、境界さえ無い二極の空間(すきま)を立たせて行った。女性(おんな)から成る現(うつつ)の仄香(ほのか)は干乾び始め、尻尾を出さない男性(おとこ)の嫉妬(ほのお)は欠伸をしながら膨張して活き、限界(かぎり)を報(しら)さぬ夢路の脚色(いろ)へは遠巻き遅れて、靡きに絶えない独学の音を真向きに捉えて放心している。きつきつ、きちきち…、つとつと、ほろほろ…、暗(やみ)の許容(うち)へと葬り損ねた忌々しい〝気〟を独断に観て、「明日(あす)」の気力を放り損ねる向きの出足を俯瞰した儘、俺の幻(ゆめ)には通りに咲けない青い屍(かばね)が散乱していた。「働き場所を…」と脆(よわ)り切らない怒調(どちょう)の美声(こえ)から大目に見る儘、活路を灯せぬ現実描写は始終褥に巻かれて在って、脆々(もろもろ)崩れる現(うつつ)の涼風(かぜ)から過去の冷風(かぜ)まで、俺の居場所を突き止め始める〝現実模様〟の浮き立ち方には、俺への定めを装い続けた孤独の素顔が素描(デッサン)された。「働き場所を…」と何気に呆けた淡い口には微笑を立たせた透った照輝(てか)りが機敏に紅(あか)らみ、仄かに浮き出る他(ひと)の素顔の出で立ちにはもう、何も描(か)かない片仮名描写が奥歯を鳴らして悶々している。俺の心身(からだ)を受け止め得るのは褥に揺らげる現世(うつしょ)の肴で、辺り構わず他(ひと)に気取れる空蝉(からせみ)の実(み)を、両手に取れない現実発起に露頭を描(か)いた。
何処(どこ)かへ遠退く自己(おのれ)の感覚(いしき)に注意しながら、俺の心身(からだ)を賄うムードは欠伸をしながらぽつんと在った。これまで俗世(このよ)に如何(どう)して活きて、如何(どう)して在るのか、定かでないのがぽつんと突っ立ち、自分に彩(と)られた欲の内にて寝首を擡げる。明くる朝から、俺の周りを失踪して行く幾多の温身(ぬくみ)が人影(かげ)を被(こうむ)り謎へ失(き)え果て、可笑しくないのにけたけた嘲笑(わら)える暗(やみ)の許容(うち)へと顔色変えて、何処(どこ)へ行くのか一向識(し)らずに、どんどん膨らむ暗(やみ)の許容(うち)へと邁進して行く。紫煙(けむり)の立たない日々の人山(やま)には無重の追想(おもい)が在るには在るが、呼笛(よびこ)を持たない俺の表情(かお)には甘い匂いが漂い始める。冷めた感覚(いしき)が微妙に尖れる安い裏道(みち)には紫煙(けむり)も立たずに、何処(どこ)からともなく、朝陽に茂れる脆(よわ)い景色が霧散を呈して支配され行く。脆(よわ)く突っ立つ女性(おんな)の縁故が何はともあれ目出度いものだと、酒席を設けて俺の感覚(いしき)を放り投げ得る新たの心境(さかい)を見逃してもいた。水面(みなも)に映れる黄色の剣士が怒涛に逆巻く潮音(おと)を通して、俺が佇む淡い立場へ空気(もぬけ)を追立(ついた)て茂れる宿まで呑めり込みつつ露わに呈し、何処(どこ)へも辿れぬ〝意味〟の樹海を我が物顔して得意気に立ち、俺と他(ひと)との仲を取り持つ仲介者として現れていた。俺に背負わす定めの幅には何も気取れぬ〝意味〟さえ在るが、〝深い果て〟には人の生き血を吞み込み始める黒い勇気が散々(さんさん)している。人の動きと他(ひと)の動きを何処(どこ)まで辿って掬い得るのか、一向見知れず気取らないのは俺に置かれた定めなのだ、と一蹴しながら、煙(けむ)に巻かれる甘い簀子へ一万人目の来訪者と成る。白い呼笛(よびこ)は自体(おのれ)を咲かせぬ青い花への合図を奏で、人山(やま)の麓でほっそり伸び得る淡い気色を順に取り次ぎ、決った幻(ゆめ)への小路(こうじ)を持ち得ぬ俺の気色を逆手に採った。此処(ここ)まで生き立ち、人の麓で喘ぐ姿勢(すがた)は透明色した硝子箱に見る脆(よわ)い人身(からだ)を追い立てそうで、儚く哀しく、中々険しい、人間(ひと)の鬱へと失踪(はし)って行った。緑豊かな俗世(このよ)の景色に見取れていながら白亜の真室(まむろ)は空を識(し)らずに宙ぶらりに成り、欠伸しながら経過を啄む俺の呑気と追随して行く、白亜の幻(ゆめ)へと外見(そとみ)を成した。初めから在る既出の声には陽(よう)の灯(あかり)がぽつんと明るみ、漆黒(くろ)い宙(そら)へと吸い込まれて行く人間(ひと)の興味を失くしていながら、大運河に咲く小さな畔は経過(とき)の終始に逆行して行く丈夫な流行(ながれ)を呈し続けた。女性(おんな)に彩(と)られる正義・誠実・理性の程度が、男性(おとこ)の俺には重荷を忘れる、桎梏(かせ)を想わす箍にも観えて、積極的から消極的へと、全ての事象へ跨る際にも、俺の精神(こころ)は理性を退(しりぞ)け欲へと活き得る何等の趣向を大事に観ていた。頓馬(とんま)の欲から他(ひと)を取り出す哀れな人形(すがた)を真向きに捉え、直ぐに壊れる女性(おんな)の感覚(いしき)を逃していながら、身軽に死に往(ゆ)く女性(おんな)の初生(いろは)を憎み続けて空気(もぬけ)を抱いた。黒目(ひとみ)に映れる白い肢体(からだ)の女性(おんな)の化身(かわり)は、漆黒(くろ)い夜気(やぎ)から未熟に活き得る褥の〝愛〟など仄かに掲げ、男性(おとこ)に生れる俗世(このよ)の煩悩(なやみ)の数多の正義を全て捕えて、頭から喰い四肢(てあし)を捥ぎ取る、女性(おんな)の嗣業へ精進して行く強靭(つよ)い定めを掲げてもいた。幼児(こども)の未熟に柔く騒げる〝褥〟をぶら下げ、女性(おんな)に対して何も気取れぬ男性(おとこ)の強靭味(つよみ)は疾空(しっくう)を切り、表情(かお)の無いままぶら歩きをする女性(おんな)へ目掛けて罵声を投げ掛け、俗世(このよ)に生れた男女の気色を軟く切り裂き葬っていた。俺の周囲(まわり)に揚々集まる見知らぬ空気は次第に崩れ、抱擁され行く男性(おとこ)の脆(よわ)さは宙(そら)から気取れる自分の淡い灯(あかり)をぽんと立たせて弱気を呟き、自分に宛がう救いの躰を永久(とわ)に生き得る言葉の陰から自然に引き抜き、俗世(このよ)に象(と)られた悪の栄える無理の檻にて、自分を保てる柔い平和を未然に仕立てて合唱して行く期待外れの幻(ゆめ)を観ながら自分と俗世(このよ)の終ぞ付かない合いの感覚(いしき)を捜して在った。そうして戸惑う俺の前方(まえ)には、褥の檻から出て来たような、淡い肢体(からだ)の教授が現れ、漆黒(くろ)い人見(ひとみ)にぽつんと浮き立つ真面目の姿勢(すがた)を俺へと観せ付け、鍵の壊れた檻の内から気丈を呈してすうっと出で立ち、幻(ゆめ)を透して幻想(おもい)を通せる強靭(つよ)い頭(かしら)を傾倒させた。
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~命の幻(ゆめ)~『夢時代』より冒頭抜粋 天川裕司 @tenkawayuji
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