第3話

「………なんて言ってもね」


そもそも、見つけることができても逃げられたら意味なんてないんだよね……。


じゃあ、どうやって捕まえるか。

一応、方法はあるにはあるんだけど………。


「下手したらこの能力使用者も死ぬ可能性が高いんだよね……」


それは、能力自体に干渉すること。

能力を解析をして強制発動、解除、破壊等ができる。

能力自体が、『魂』に関係するものだからあまり干渉しすぎると『魂』にもダメージが行って死んでしまう可能性がある。


使用者が怪物ならいいんだけど、人だとねぇ……。

いくら世界を再誕させようとしても憚られる。

人殺しにはできる限りなりたくはない。


なら、どうするか。


うーん……。


魔力が使えたら楽なんだけどね……。

あの大きい方の子に追いついて、ここについて聞ければもっと楽だと思うし。


仕方がない。

能力に干渉して…………。


ってあれ?

どうして私は思考を放棄してもう諦めようとしてる?


………流石に異常。


よくよく考えたらまだ私には隠し玉がたくさんあるのになぁ。

あ、隠し玉って言っちゃった。

…まあいいか。


ってなわけで、隠し玉その1〜。


テッテテー。


「認識阻害装置〜」


相手からの認識をその辺りに転がっている小石程度にまで落としまーす。

ちなみに、見た目は団扇。

理由はこれを作った時に暑かったから。

夏祭りにピッタリだね!!


…意図しては無いけど。



認識阻害してどうやって捕まえるかなんだけど、方法は簡単。

まずは認識阻害をして、私が近づきまーす。

次にあの子に触れまーす。

おわり。


………真面目に説明すると、認識を阻害することによって相手からは私を簡単に知覚できなくなる。

その間に、私が近づいて相手に触れる。

理由としては転移に対する対策だね。

少し前にも言ったと思うけど、転移は対象とその対象に触れているものを転移するからね。

私が触れる事によって転移で逃げられることがなくなるんだよ。

ちなみに、認識阻害は一度知覚された瞬間、それは効果をなさなくなるから、空間内探知をされてしまったらおしまいなんだけどね。

一瞬でバレてしまう。

能力に探知が含まれていないことを祈るのみだよ。


「起動っと」


さてさて、あの二人組を探すとしますかね。


◯◯◯


………流石に簡単には見つけさせてくれないのか、なかなか姿を表さない。


ところで、先程から同じ道を通っている気がするんだけど、もしかしてループしてる?


いや、それはなさそう。

私は自分のことをなかなか記憶力が高いだろうとは思っているけど、全く同じ光景はいままで一度たりとも無かったからね。


つまりどういうことだってばよ、って?


ただ単に私が迷子になっているだけだよこれ。

まぁ……胸を張って言うほどのことでもないけど、方向音痴だからね。


小さい頃、大型ショッピングモールや遊園地とかで迷子になってよく店内アナウンスのお世話になっていたなぁ……。



その後、しばらく歩いていると、進行方向の先から太鼓の音が聞こえてきた。

そして、その太鼓の音が大きくなるにつれて人混みが増えてきた。


「ちょーっと通らせてね〜って、聞こえないか」


認識阻害をしているんだった。


人混みをかき分けて進むと、大きく開けた場所にたどり着いた。

太鼓の音はそこから聞こえ、笛や鈴などの音も聞こえてきた。


「わーお」


多くの人が踊りをしたり、それを眺めていた。

そして、真ん中にある高台に先程の女子二人はいた。


………何故か私の方をずっと見てくる。


あれ?

私、認識阻害してるよね?


もしかしてバレテーラ。

あーあ、能力に探知が含まれていたパターンだこれ。


とりあえず周りの風景に溶け込んで知らんぷり。


すると、どこからかメガホンを取り出した大きい方の女子は私に向かって言った。


「バレてるよ?」


はい。

バレてました。


「とりあえずこっち来て」


転移を使ったのか、いつの間にか後ろにいた二人組に手を引かれて、路地裏に連れ込まれた。


なんか、路地裏に連れ込まれるってなんか誘拐されている気分だなって。

まあ、この亜空間に入った時点で誘拐されているも同義だけれど。


ってなわけで路地裏到着。


「あなた、星無望よね?今は女の子だけれど」


そんな言葉に小さい方の子が挙手をして言った。


「わたし、変えた」


なるほどね。


「つまり、この亜空間の創造者はアナタで合っているのかな?」

「そう、わたし」


だいせいかーい。

やっぱり私の予想は正しかった!!


「その上で問うわよ」

「どうして、平気?」


???


「ドユコト?」


どういうこと?

なんかこの亜空間に対象に何かを行う特殊能力かなんかあるってこと?


「だーかーらー!どうして永花えいかの能力がアナタに効かないのよ!」

「TS能力は効いてるけど?」


てか、小さい方の子の名前って永花っていうんだ。


「そうじゃなくて、もう一つの方」


いや…。


「私、貴女達の能力なんか知らないよ?」


だって、ね…?


「そもそも私のほうが先に牢獄にいたから私より後に起こった異能犯罪者なんて知るわけないじゃん。情報規制されてるんだよ?」


驚愕する二人。


いや、わからんかったんかい!!




「で、聞きたいんだけど、なんで私をこの空間に閉じ込めたわけ?」

「それは……」


「食べたかったから」

「「え」」


大きい方の子はそれ言っちゃうの?という顔をした。


私は性的にも物理的にも食べられるのは嫌だからね。


反射的に逃げた。


「わたしからは逃げられない」


しかし、まわりこまれてしまった!!


「じょ、条件を出そう!私を性的な意味で食べたいならせめて私を堕としてからにしてもらおう!」


せめてそういうことは相思相愛になってからがいい。


「わかった」


あ、あっさりと引き下がった。

良かったー………。


「だから堕ちるまでこの空間に閉じ込める」


ん?


これって私が永花ちゃんに食べられること確定してない?


出られないじゃん……。

でも、この空間にきて良かったことはある。

私を捜索しようとしている人を撒くことができるってこと。


とりあえず、亜空間の外との時間の流れの差を計算したい。

時間の流れの速さを考えないと、この空間に居続けることによって、世界消減への時間の猶予も減るからね。


まあ、それは後でやるとしても…。


「今は夏祭りを楽しんでも良いかな?」


子供の頃なんて楽しむ暇は無かったからね。


===

はい、前話投稿から約二週間が過ぎてしまいました。

スミマセン。

正月はぐーたらするのに忙しいものなのです。

完結はさせる予定であるので安心してください。

………が、最後の更新から一ヶ月ほど空いてしまった場合、「あっ、こいつ逃げやがったな」とでも思っていてください。

(大絶賛エタり中なので次回も更新遅れる可能性が高いです)


次回、主人公メス堕ち!デュエルスタンバイ!


2025/1/7:前話の描写を加筆しました。

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