TSっ娘ちゃんによる世界再誕計画《Re:ユニバース》

野小路(のこじ)

一章 

第一節 終わりなき夏祭り《フォーエバーフェスティバル》

第1話

暗雲の立ち込める空の下、私こと星無ほしなしのぞみは逃げ続ける。

何からって?

それは……。


「ぎゃぁぁぁーーーー!!!しぬしぬしぬしぬ〜〜〜!!」


降り注ぐのような

事実であり、起っているから日本語は間違っていないと思う。

お使いのデバイスは正常です?

いや、何いってんだろ私。


はそこら中に転がる倒壊したコンクリート製の建物に穴を開け、車を一撃で粉砕。

ほんとに死ぬからやめてよ〜ぉっと。


「ふ、ふぅ、危なかったぁ……」


通常時での雨の速さは時速二十数キロ程なのに対し、あの雨、最低でも音速は出ていた。

物理法則は早く仕事をしてほしい。

あ、でも、物理さんが仕事をされたらファンタジーを用いる私も困るけれど。


「イテテ、ちょっと掠っちゃったか…」


衣服が少し破け、赤く血が滲み出ている。


目標からの現在の距離は約一キロメートルと少し。

推定射程範囲である半径一キロメートルからは出ることができた。


ただなぁ…。


「あれを倒さなきゃ意味がないんだよねぇ…」


私には目的がある。

具体的には世界の再誕Re:ユニバース


そのためには力が必要。

ただ、その力を得るためにさらにいくつかの大きな力が必要になる。

そのいくつかの大きな力の元となる力の一つである、『雨』の力の持ち主であるあの怪物を倒し、その力が欲しいんだけどなぁ…。

いかんせん強すぎる。

本気を出して勝率が三:七といったところかな。

私が三ね。

しかも、怪物が今の状態で、本気を出していないかもしれないから更に勝率は下がると予想。

うーん現実的でない。

一旦退散か。


そう思いながらなぜ私が世界の再誕Re:ユニバースを行おうと思ったかを思い出す。


◯ ◯ ◯


カチッカチッ。


一年ほど前、私は世界をしようとした。

理由は単純。

世界があと数年で滅びようとしていたから。

改変して滅びへの期限を遥か未来まで伸ばそうとした。


ここまでは良かった。


……が、方法が不味かったらしい。


ミスっちゃいました♪テヘペロ♪


……コホン、最初は滅びへと向かう原因となっている『怪物』が生まれる根本的原因の人の『悪意』を無くすため、洗脳装置を3日で作り上げ、起動しようとしたが、そこを魔法少女達に止められ、世界改変計画ver1.00は挫折した。

後日、洗脳装置にそもそもの感情をなくしてしまうという特大欠陥が見つかった為、起動しなくて良かったかもと思った。


カチッカチッ。


次に、世界改変計画ver1.30の話をしよう。

1.01から1.29までのバージョンはどうした!?

と思うかもしれない。

フフフ、実は……。

途中で挫折したのだ!!!!(盛大なドヤ顔)


と、いうのはさておいて、真面目に挫折はした。

ファンタジー的な力が足りず、実行に移せなかったのだ。


ファンタジー的な力なんて一般家庭生まれの私に備わっているわけ無いでしょ!!

手に入るモノならそういう特別な血筋の家系に生まれたかったよ!!

別に親に文句を言っているわけではないけれど。

あ、でもそういう血筋だったら人間関係が面倒そう。

今でもちょっと才能があるからって人間関係がダルダルなのに。


カチッカチッ。


世界改変計画ver.1.30の話に戻るかぁ。

1.30では前回の反省を踏まえて、ファンタジー的な力を取り込んで、それを使って『悪意』を消す計画だったんだけど………。


これまた正義の魔法少女達にボコボコにされて計画を止められちゃいました!

その時に捕まって今は無事豚箱の中ってわけ。

うん、ひどい人生だ。


ちなみに、手足を拘束され、猿轡を噛まされてる。

これで私が女だったら屈辱されていたところだよ。

危ない危ない。


まあ、ちょいちょいって世界に干渉したら抜け出すことはできるけど、抜け出したところでまた捕まるってオチだし世界への干渉は世界滅亡を早めるだけだからあんまり使いたくはない。


カチッカチッ


ところで正面から私を見つめてくる女子の二人組は何なんでしょうか。

卑猥な目で見られてる気がする。


ふぁふぇんふぃふぇふ破廉恥です


猿轡邪魔だなぁ。


「あの子食べたい」

「美味しそう………」


あー、カニバリズムの方ですか。

ちょっと逃げさせていただきますわね。


カチャカチャ。

しかし!拘束されて逃げられない!

…鉄格子二つ越しだから食べられることはないだろうけど。


「………だけど女の子じゃないのが残念」

「あたしはどちらでも構わない。屈辱するのが楽しみ」


あれ? 

これってもしかしてやっぱり性的に狙われてる?

それは困りまっせ。

カニバリズムよりはマシかも知れないけど。


それについて一旦考えるのはやめておく。


カチッカチッ。


はぁ…滅亡までの期限まで400日かぁ。

滅亡まで500日を切った時に天変地異が起こっているんだよねぇ。

具体的には世界人口の約99%の死滅。

ゲームでよくある割合ダメージかな?ってほど人が死んだ。

世界の人口約80億人中の約79億2000万人のが死んでしまった。


Q,なぜこんなことを知っている?

A,世界の記録レコードを覗いているから。


これ本当に便利。

誰が死んだとかはわからないけど、重要情報はすべてここから得ることができる。


カチッカチッ。


………正直、このレコードを見た瞬間、ゾッとした。

鳥肌が恐ろしいほどに立った。

私の計画が失敗してしまったからこうなってしまった、とすらも思ってしまった。

だが、同時にもうすでに『改変』は遅いことに気づいた。

その瞬間には私の世界改変計画はフェーズが2.00に移行し、それと同時に世界改変計画は世界再誕Re:ユニバース計画に変わった。


『改変』では失われた命は戻らないとされている。

推測では、戻れたとしてもそれは最早同じ命ではなくなっていると考えられる。

元に戻すためにはそもそも『ファンタジー』を無くす必要がある、と私は考えた。

そのためには世界をさせなければならない。


カチッカチッ。


はぁ………真面目モードはやめやめ。

調子が狂うよ。

家族が生存しているかどうかはわからないけど、再誕させればどちらにせよ元に戻るんだから今は考えない、考えない。

考えたくないだけなんだけどねー………。


カチッカチッ。


さっきから鳴っているこの音何?


カチャ、チリィィィィン……。


………ベルの音?


ドンッ。


―――その時、判断が一瞬遅れていたら私は命がなくなっていたかもしれない。


強い衝撃が建物全体……いや、世界全体に響き渡り、私の足元に縦に向かって大きめの亀裂ができた。

建物自体も亀裂ができ、割れた。


あ、危なぁ……。

拘束器具は左右に取り付けられていたから、そのまま拘束から逃れずにいたら車裂きの刑みたいに私の体ごと真っ二つになっちゃうところだったよ。


世界へと干渉したから世界の滅亡アポカリプスを早めちゃったかぁ…。

命の危機に瀕していたから仕方がない。


うーん、これ私、脱出して良いのかな。

上を見上げれば青空……………???


………え?


空が真っ暗?


===

あとがき

新作です。

よろしくお願いします。

モチベが続く限り週一以上更新をします。

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TSっ娘ちゃんによる世界再誕計画《Re:ユニバース》 野小路(のこじ) @nokoji

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