世界でたった一人のハッピーシンデレラ(仮)

望月よしみ

第1話 ───プロローグ───


私の人生は、たった一冊の“不思議な本”と

“太陽の鍵”に導かれて運命が変わった───



********



おばあ...ちゃん?


あれ?おばあちゃんは去年亡くなったはず...。


見間違えたのかなと目をこすってみても目のまえにおばあちゃんがいる。


ああ...これは夢のなかだ。


おばあちゃんが台所で作っていたブリの煮魚の匂いが、ふっと鼻をかすめた気がする。


醤油の香ばしい香りと、ほろほろに口のなかで崩れていく甘い味がつい最近のことのように感じる。


おばあちゃんの洗濯物の匂いも、安心するから大好きだった。


「ヨシミ、こっちへおいで」


おばあちゃんに呼ばれて、おばあちゃんのもとに近寄っていった。


「これを、ヨシミに渡しておきたかったんだよ。

この鍵は、未来の扉を開く鍵なんだよ。

必ず使うときがくるから。その時まで大事に持っておくんだよ。」



優しくて温かい感触が指先に伝わる。

おばあちゃんはその鍵を、まるで宝物のように大切そうにそっと私の手に握らせた。



どこからか差し込んできた陽の光がその鍵にあたると、キラキラと金色の輝きを放った。



(なんの鍵だろう...?)



目の前の景色がだんだんと薄くなっていく。


あ、夢が終わる...


ぼんやりと霞んでいく景色の中で、おばあちゃんの笑顔だけが最後に浮かび上がった。



********



そして気づけば、私は自分の部屋の天井をみつめていた。

  

  

  

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