第3章:守護教師

(1)

「すいません、情報の補修は先生の都合で中止です。各自、代りに自習をしておくように」

 放課後の補修の時刻になって、何故か、国語の先生がやって来て、そんな事を言った後……そのまま職員室(多分)に戻った。

 え……ええっと……。

「大体、ネット使うのに、数学の確率統計とか集合論とかを何で勉強する必要が有るんだ? 情報の授業の内容を考えた奴は、非論理的な奴に決ってる」

 冬の寒い中、屋外でTシャツ1枚になったせいで……危うく肺炎になりかけたらしい中島は、2日ほど寝込んだだけで、あっさり回復。

 いつもの調子に戻っていた。

「今度は、どこのSNSインフルエンサーの受け売りだ?」

 宿題を手分けしてやってるボンクラ・オマヌケ・成績激悪グループの1人である森が、そうツッコミを入れる。

 森の奴は、野球部だったんだが、脱臼癖が付いたらしくて、1学期には「将来の先発ピッチャー候補」扱いだったのに、今や戦力外通告されてる。

「だって非論理的だろッ? 不合理だろッ?」

「ところでさ、他のクラスの奴から……福田が校長室に呼ばれてたみて〜な話が回って来たんだけど……」

 森は、自分からツッコミ入れたのに、中島の反論(反論になってればだけど)を無視して、話題を変える。

「福田って……どのクラスの福田?」

「このクラスの福田」

「え? このクラスに福田って名字の奴……」

 ……。

 …………。

 ……………………。

 はっ?

 ……はぁッ⁉

「おい、何で、先生が校長室に呼ばれてんだよ?」

「そりゃ……何かやらかしたんだろ……」

「そこ、騷ぐなら、他でやって」

 真面目に自習してる女子の1人が、イラついた声で、そう言った。

「見に行く?」

「あの調子じゃ……馘かな?」

 何と言うか……何の感情も湧かない……。

 ボンクラ集団のみんなも……そんな感じだ。

 でも……何か、オタク系・体育会系・チョイ悪気取り系を問わずにネタに出来そうな話なので……ゾロゾロと見物に行く奴が……。

 いや、自分でも趣味が激悪だとは思うけど……。

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