(9)

「あ……あのさ……」

 翌日の放課後(正確には補修授業の後)、ウチのクラスの男子数名(俺や中島を含む)が担任の福田に呼び出された。

「あ……みんな座って……。そう長くかかんないから……」

 生徒指導室には……機嫌がクソ悪そうな生徒達と、気がクソ弱そうな担任。

「い……いや、ボクも、ここの高校出身でさ……ボクが、ここの生徒だった頃に比べて、宿題とか補修が多くなってる……気はする……割に、いい大学への進学率なんかは、イマイチな……気がする……んでさ、生徒に、宿題をジャンジャン出したり、補修をジャンジャン受けさせるのは……どうかと思ってるんだけどさ……。でも、ボクも、教員になって5年目ぐらいなんで、その……先輩の先生達に意見とかさ……いや……その……何て言うか……」

「あの……先生、『そう長くかかんない』って言ってる割に……」

「あ……ああ、ごめん。余計な話が長くなったね。じゃ、本題。なんで、ボクが出した宿題で、みんな同じ問題を、同じ間違え方してるの?」

 ……。

 …………。

 ……………………。

 みんなの視線が痛い。

 俺の担当箇所だ。

「あの……この学校は進学校だから、最終的に、みんながいい大学に行ってくれれば、その過程は問わないよ。いや、大学入試の本番でカンニングとかしたら別だけど……。でも、その、ここに集ってもらった、みんなは……その……成績が……」

 あからさまな舌打ちがいくつか……。

「特に、中島君は、情報の授業で、1学期の中間と期末に、2学期の中間と期末と……4回連続で追々試まで受けてるんで……今度は頑張ってもらわないと……その……」

 あ〜あ……。

「じゃ……手短に、君達が、どこをどう間違ったか説明するから……あ、時間は、とらせないから……」

 そして……4問の問題の回答のどこがどう間違いだったかの解説は……1時間以上に渡って続いた。

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