人は【天使】に慣れた。

 冗談で怒ってみたり、【天使】を捕まえようと面白半分に下らない争いを繰り返した。研究と称して何度も【天使】の降臨が観測された。

 学者の機械を通して眺めたこの世界には、無限の天使の群れがいた。

 雪のように降り積もる白い肌の天使たちは、感情を知らぬように笑んでいた。

 だから私たちが【天使】という存在──いや、【天使】というシステムの絶望的な欠陥に気付くのは、赤ん坊の衰弱死のニュースが連続した辺りからだった。



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