第一章

月日は流れ、

誰一人として人形を覚えている者はいない…


そう・・・もう村はない。

チェリー・リーリーの家系も滅びている。




ヨーロッパのある町のリサイクルショップに7人家族がやってきた。


「あっ これすてき!」


四女のユーメが言う。

家族はみなその人形を気に入った。


会計の時・・・


「この人形はチェリー・リーリーよ」


店員は家族に言った。


両親は家にいる五女に人形を見せた。


その時から事態は動き始めていたのであった・・・・・・


その日から数か月たったある日を境に母は子供たちより人形をかわいがるようになった。


・・・・・・それから数か月後・・・・・・


母は体調を崩しがちになり半年もたたずにこの世を去った。


そしてその家の財産は底をつき、

父は出稼ぎに行ったため20歳の長女が家の事をやっていたが病気にかかりこの世を去った。


子供だけになった家で次に妹たちの面倒を見たのは

次女のヴィーオーだった。


しかしヴィーオーも謎の病気にかかり

身体が動かず寝たきりになり耐えられなくなった

三女のシナモは五女のユーナを養子に出す決断をした。


しかしユーナが強く拒み、限界を感じたシナモは次の日に首をくくった。


そこで一番頭の良かった三女のピーク―は気づいた。


人が死ぬ前、病気になる前はいつもユーナが独り言を言うことに……


しかしそんなピーク―も交通事故で帰らぬ人となった。


父は幼い子と病人だけになった家を心配し帰ってきたが翌日何者かによって殺害されているところをユーメが発見した。


のちの取り調べでユーナは父に殴られたため振り払ったら動かなくなってしまったと供述した。


しかしユーメ―とヴィーオーはとてもいい父だったと話したため不可解な事件として闇に葬られた。


さすがにおかしいと思ったヴィーオーが修道女を家に呼び見てもらったが修道女は何も言わなかった。のちに公開された修道女の日記によると、五女のユーナはもともとは人形の引き寄せた幽霊であったが今は人形に病気を植え付けるよう指示していると伝えられている。


一年の月日は流れヴィーオーはこの世を去った。


四女のユーメは五女のユーナを親せきに預け一人で旅行に出かけた。体調がいい。


悪かった体調はもうすっかりいい。考えたユーメは一つの結論にたどり着いた。


―チェリー・リーリーが原因ではないか―


そう思ったユーメは帰ると同時に人形を捨てた。


―・・・・・・プルルルルルプルルルル・・・・・・―


「はい。もしもし?」


「早く病院に来て!今ユーナが倒れて救急車の中で息を引き取ったの!…」


「えっ!」


親せきからの電話でユーナの訃報が伝えられた。


ユーメは急いで病院に駆け付けたがユーナは静かに眠っていた。


・・・・・・ユーナの葬儀の日・・・・・・


火葬場から煙が上がっている。ユーメは泣きながら静かにそれを見ていた。


1時間後葬儀屋の男性がこちらに走ってきて口を開いた。


「ユーナさんのお骨が一切出てこないのです!」


ユーメは静かにうなずくと空っぽの骨壺を抱え墓へと向かう。


花を供えたユーメの頬には涙が伝う。


“チェリー・リーリーは私からすべてを奪った“


ユーメ―は誰もいない家を見渡し今日も想う。


 

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