チェリー・リーリー

如月幽吏

序章

ザッザッザッザ


ボドンッ


もう300年も昔のこと。

ヨーロッパの小さな村の谷間の集落に人形が落とされた。


誰によって落とされたか・・・・・

なぜ落とされたか・・・・・

もう知るものは誰一人としていない…




そこに住む親子が人形を拾った。

しばらくは楽しく遊んでいたが事態は割と早く変化を見せた。

父は出稼ぎに行ったまま手紙は返らず・・・母は日に日に体調を崩すようになった。        

子は徘徊をし、とうとう行方をくらませた。




ザッザッザッザ


足早に人々が通り過ぎる。

道に座り込む少女には誰も気づかない。


ザッザッザッザザ


一人の女性が少女の前に立ち止まる。

「チェリー?」

その女性は母だった。




そう・・・ふたりは再会したが、

人形は行方をくらませていたのであった。

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