お伽童子
東音
第1話 巨乳女子高生は、一寸法師(元ネタ)に妖怪退治への協力を迫られる。
青い空にふわりと浮かぶ綿雲。小鳥のさえずりが聞こえる爽やかな平日早朝ー。
「おおいっっ!!六条襟っ!!頼むから協力してくれよぉっっ!!」
「ぎゃあぁっ。あんたまた現れたのっ!!嫌だって言ってるでしょぉーーっ!!」
宙に浮かぶ手の平サイズの不思議な生き物に追いかけられ、悲鳴を上げ、通学路をひたすら逃げていく私の姿があった。
私は、六条襟。通学路の先の御伽高校へ通う女生徒だ。幼き日に父親が出て行って以来男嫌いだけれど、つい2日前までは平穏な生活を送っていた。
けれど……。
ぷかりぷかり……。
「頼むって。妖怪退治には、姫の末裔のお前の協力が必要なんだって!!皆の人気者、この「一寸法師」の頼みを断るなんて、不敬だぞっ?」
たぷんたぷん……。
「そんな事知ったこっちゃないわよっ!早くどっか行ってーー!!」
おわんの乗り物に乗り、昔風の着物を着て、風呂敷を背負い、針の刀を腰にさした童子の小人=まるでおとぎ話の一寸法師のような容貌をした生きものに追いかけられ、理不尽な要求をされ、走りながら人より大きな胸が揺れるのを不快に感じながら、私は大声で喚いた。
この自称「一寸法師」
実はおとぎ話のモデルになった600年前の貴族の男の魂が入っていて、天界の神から下界での妖怪退治を申し付けられたらしい。
婚約者であった貴族六条家の姫の子孫=つまり私の力を借りないと、妖怪退治に必要な力を得る事が出来ないらしく、
2日前に突然私の前に現れた時には心臓が止まるかと思った。
妖怪退治なんて、怖くて私に何のメリットもないし、得体のしれないこいつの頼み事を引き受けられる訳もなく、断ったが、その後、度々私の前に現れてしつこく協力を迫ってくるのだった。
「姫の末裔であるお前の生気は、妖怪に狙われ易いんだぞ?協力してくれたら、お前を守ってやる。悪い話じゃないだろうが!!」
「はあ?今まで一度も妖怪に狙われた事なんてないし!あんた、生きていた時は女遊びで婚約者に逃げられ、死んでからも天界で神様の女に手を出そうとして、罰としてそんな姿にされて、元の姿に戻る為に妖怪退治を申し付けられたんでしょ?そんな奴の言う事信じられるもんですか!!」
「ぐっ…!霊界タブレットめっ!襟に仕事内容を説明する時に、俺の過去の情報まで事細かに教えなくていいのにっ!!おかげで仕事がやりにくくなったじゃねーか!!」
5歳ほどの幼子のような可愛らしい顔を歪めて、奴は歯噛みしたが、中身はエロくてどうしようもないダメな男だと分かっている私は騙される事はなかった。
「私はあんたみたいな男が虫唾が走る程嫌い!!逆にこの姿になって、他の女の人に被害を与えなくなっててよかったんじゃない?妖怪退治なんてせずに、ずっとそのままでいればいいわ。」
「なっ…!お前、それはあまりにも残酷なっ……!」
私の言い放った言葉に、一寸法師が、ショックを受けて固まった時……。
「おっ。やあ、襟ちゃん、おはよう!今日は朝早いんだね!」
「狂四郎さん……!」
後ろから、よく知る長身で眼鏡をかけた男子生徒に声をかけられ、私は大きく動揺した。
✽あとがき✽
あけましておめでとうございます!
読んで下さり、ありがとうございます!
今日から毎日投稿7話完結のお話になりますので、どうかよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます