ハリウッド映画産業の草創期におけるユダヤ人の貢献
加賀倉 創作【書く精】
序章
はじめに
今日、映画という産業は、娯楽として人々に親しまれている。映画館で見る映画に関して言えば、最近では米NETFLIX等の動画オンデマンドサービスの影響を受けるものの、娯楽としての映画の存在感はやはり大きい。そんな映画業界だが、昔から次のような噂が絶えない。それは、「映画産業、とりわけハリウッドにおける映画産業はユダヤ人によって支配されているのではないか」というものである。確かに、スティーヴン・スピルバーグ監督や女優ナタリー・ポートマンをはじめ多くのユダヤ系の映画人が活躍しているのは事実であるが、「支配」は言葉が過ぎる。森羅万象はユダヤ人の陰謀の下動いているなどという過激な思想が流布していることからもわかるように、ユダヤというレッテルが先行して「映画=ユダヤ」というステレオタイプに囚われているだけで実際にはユダヤ人はその数相応にしか活躍していないのかもしれない。あるいは、特に因果関係もなく、偶然有名な映画人にはユダヤ系が多いという可能性も考えられる。しかしいずれにせよ、ユダヤ人と映画を結びつける要素は確かに多い。例えば、誰もがその名の1つくらいは知っているであろうパラマウント、MGM、ワーナー・ブラザーズ、ユニヴァーサル、コロムビア等の映画のメジャー会社の創業者の大多数が、ユダヤ系である。このそうそうたる顔ぶれが、単なる偶然の産物であるとは考えにくい。そこで、ユダヤ人がハリウッド映画産業においてどれほど影響力を発揮してきたか、なぜ成功できたのかを明示する、というのが本稿の目的である。本稿ではハリウッド映画の勃興期である19世紀初頭の、特にメジャー会社に焦点を当てていることを先に断っておく。次の4つの論点から検証してゆく。
(1)ユダヤ人メジャーの興隆と変遷
(2)集団規模でのユダヤ人と映画の結びつき
(3)ユダヤ人がなぜ映画産業で影響力を発揮できたのか
(4)ハリウッド映画産業においてユダヤ人比率は高いのか
以上を踏まえ、次章では映画のメジャーの創業とユダヤ人の関わりについて見てゆく。
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