V

キオク

青い湖 / 白い鳥

Vとマルコ、その父カサフは

iの足取りを追ってからというもの一週間

が経過していた。


何の手がかりも得られないまま。


「一体どこに姿くらましやがったんだろう」


「さあな? 」


「狐にでもなったんじゃねえの?」


カサフだけは黙りこくって歩き続けていた。


時折、野生動物達に出くわす事があったが彼らは狩らなかった。


鹿、猪、雉、色とりどりの魚など。


雄大な自然に育まれた、動物達。


空腹を感じた時は、木の実、木の根、

キノコを焚き火で調理して食べた。


川魚を食べる時は稀で、

三日に一度のご馳走だった。


iの馬の蹄の跡も、

ドメスティック渓谷で途絶え、手がかりはゼロ。


「一度村に帰ろうや」


「んだ。なぁ父さん」


カサフは一言も発さない。


渓谷の遠くで聞こえる湧水のせせらぎだけが、彼らの鼓膜に届いた。






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