運命は別に共鳴するものではないらしい

つばめいろ

運命とは

 運命の人を知ることができるようになった。周りの人の運命の人を聞いてもほとんど知らない名前ばかりだ。私の運命の人の名前も知らない。でも運命の人なんだ、いつかは会うのだろう。そして、気が合うのだろう。


 聞いた話によると、運命の人を知っても、その人と付き合う、結婚する人は少ないらしい。全く違う人と結婚する例のほうがほとんどだ。せっかく運命の人がいるのだから、どうせなら、その人と人生を共にすればいいのに。運命に従わずにいるのが、私は不思議で仕方なかった。けれども、君に会ってからその考えは変わらざるを得なかった。




 高校に入学して、初めてのクラスで君に出会った。私は君に一目惚れした。君とは、とても気が合う。今までこんな人はいなかった。だから、私は運命を感じていた。しかしながら、世界が示していた運命の人とは別人だった。ただ、それでもいい。君と一緒にいたいと強く思った。そして、私から告白して付き合うことになった。


 付き合って何ヶ月も経った時、思い立って君に聞いた。


「そういえば君の運命の人は誰なの?」


 君が言ったことは忘れられない。なんと、私の親友の名前だった。まさか、そんなことがあるだろうか。君と私の親友は、同じクラスであるし、よく話してもいた。なんでそちらと付き合わなかったのだろう。十分に運命の人と付き合える可能性はあったはず。本当に不思議で仕方ない。だから、私は尋ねる。


「なんで運命の人と付き合わないの?」


 だけど、君は教えてくれない。ただ、にこにこ笑っているだけだ。

でも、私はそんな君が好きだ。

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