第20話

「あ?結婚って妹はまだ22歳だぞ?

向こうが勝手に進めている婚約話で、

川邊のオッサンもあまり乗り気じゃねぇみたいだしよ」



川邊専務が口にした、そのオッサンは、

川邊会長の事だろうか?



「その妹の早苗(さなえ)ちゃんは、その婚約話についてどう思ってんの?」



「それがよ。眞山社長の写真をネットかなんかで見たのか、イケメンだから、早苗の奴けっこうその気になってるみてぇで。

いや、でもな、あいつまだ22で大学も卒業してねぇのに。

眞山社長俺らと同じ32だろ?

流石に年の差ありすぎんだろ?」



「今時10歳差くらい。

篤は、シスコンだから」



「シスコンとかじゃなくな。

小林、お前はどう思う?

お前、前まで眞山社長に付いてたんだろ?」



その川邊専務の質問に、拍動が強くなる。



ふと見ると、滝沢斗希も私に顔を向けている。



「---とても良い方ですよ。

偉ぶった所もなくて、秘書の私達や他の社員の方達の事もいつも気に掛けてくれたり。

仕事の面でも、眞山社長の働き方改革案もそうですが、彼の企画した新規事業のゲームアプリのプロジェクトも、それなりに結果が出ていますし」



「---そっか。

なら、妹がその気なら、俺は口を挟まないとすっか」



川邊専務はそう口にしているけど、

何処か腑に落ちないと言った感じで。



彼に私が何かを、気付かせたのだろうか?

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