第452話

私は再び、


山の高台に有る

お墓に来ていた



目の前が雨で

殆ど見えないが、


フェンスの前に立つ

人影を見付けた



あの後ろ姿は、涼だ…



何かを思い詰めたように

ずっと海を見ている





私はゆっくりと

涼に向かい歩いて行く




後、2メートルくらいの距離になった時、


涼は驚いたように

私の方を振り返った



「咲…お前…」




「涼から離れないって

言ったじゃん」



雨や風の音が大きくて、


私の声が

掻き消されてしまいそうだ





「お前が勝手に言ってるだけだろ?


来るなよ」



涼はそう言うと、


私に、持っていた

バタフライナイフを向けた

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