第443話

「咲…愛してる」



一度、聞き間違いかと思うくらい小さな声で、


涼は私の耳元で

言ってくれた



私の目から

涙が零れ


頬を伝う



その涙がとても熱かった





涼が私の中に入って来た

瞬間、


もう、どうなっても

いいと思うくらいに、


幸せだった



涼が望むなら、

本当に殺されたって

構わない





「涼、愛してる…。

ずっとこれからも」



私のその声は、

直ぐにお互いの乱れる息と、

雨と風の音に消される…



だから、何度も何度も、

私は繰り返し囁いた




“涼、愛している…”

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