第387話

『涼のお母さん…』



私のその言葉を聞いてから、

涼の表情は、

一段と重くなった



私の言葉を

何も否定しない事から、


涼には母親を殺す理由が

思い当たるんだと、

思った



私は、涼はお母さんが好きで、

居なくなって寂しいのだと、

思っていた



それは、一般的な考え方で有り、


母親の話をした時に、

涼はいつもどこか

哀しそうに見えていたからだ



だけど、もしかしたら、

私は思い違いをしていたのかもしれない



哀しい理由は、

私の思いとは

違うのかもしれない



涼、もう一人の涼、


どちらが彼の母親を

殺したかは分からない



だけど、どちらで有っても、

それは涼が望んでいたのではないだろうか?

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