第380話

その本を再び読んで以来、俺はひたすら母親の暴力に耐えながら、


それは自分ではない、

誰かだと思い込もうとした



そして、そのもう一人に

好きな漫画の主人公の名前と同じ、


アキラと名前を付けた



母親に殴られる度、

それはアキラの身に

起こっているんだ…



そして、アキラの身に

起こった出来事を、


俺は記憶の隅に追い込んだ



俺の中には、

もう一人の人間が居る…



そう、思い込み、

忘れる…



そう思い込む事で、

本当に記憶が消えたように、

段々と忘れる事が

出来るようになった



嫌な事は全て、

アキラに起こった事だと思い、

忘れた

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