第366話

手を伸ばし、

テーブルの上のリモコンを掴み、


電源を付けた



小さな音をたて、

テレビの画面が

明るくなって行く



直ぐにでも、

目的の情報が得られそうだ



連日、連夜、世間ではこの話題ばかりなのだろう





『――少年の物と思われる携帯電話が、

I県のN市で土木建築関係の自営を営む、

野々村賢一さんの

所有する、


軽トラックの荷台から

発見されましたが、


少年の行方は、

依然と分かっておりません』



俺はそこ迄聞くと、

チャンネルを変えた



『――夕べから行方が

分からなくなっている、


木村咲さんと思われる

女性を、

夕べK駅の近くで、

その少年と同じ年頃の少年と一緒に居たのが、


その時間近くに居た大学生の証言で、

分かっております。


木村咲さんは今も少年と

一緒に行動を共にしていると思われ――』



テレビで咲の

名前が流れた瞬間、


俺と咲は無言で顔を

見合わせた



予想はしていたが、

こんなに早くメディアに

咲の名前が出るなんて…



俺は、もっと情報を集める為、


再びチャンネルを変えた

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