第358話

「連れてってよ。

どうせ行く場所ないんだし」



咲は子供みたいな、

笑顔を浮かべている





「その海S県だぜ?


まぁ、此処からS県は

近いけど、


S市内からフェリーに乗って島に行かなきゃいけないんだよ。


だから…」



俺はそう言うが、

話しているうちに、


行ってもいいかもしれないなと、

思い始めた



いつ、咲と一緒に居られるこの時間が

終わるか分からない



なら、楽しい思い出の

一つくらい欲しい



今、咲とこのまま逃げていたって、

お互い辛いだけだ





「いいよ。

明日行こう。

だから、もう寝ろよ」



俺はそう言うと、

もう一度咲に背中を向けて眠りについた





「はーい」



咲は嬉々とした声で、

そう言った

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