第208話

暫くすると、


咲が淡いピンク色のワンピース姿で、


ゆっくりとこちらに

歩いて来ているのが、


見えた



足取りが重いのは、

遠目でも分かる





「遅くなってごめん…」



咲はずっと俯いていた



初めて咲の私服を見て、

こんな時にどうかと思ったが、


少し、ドキドキとしていた




「俺、夕べ何してた?

この定期、なんで俺が持っているんだ?」



俺はジーンズのポケットから、

咲の定期を取出し、


彼女に渡した



咲は俯いていた顔を上げ、

重い表情のまま、

それを受け取った



だけど、咲は何も話してくれない

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