第147話

「咲は、ユキちゃんと帰るって。

だから、一緒に帰ろう」



田中は、俺にゆっくりと

近付いて来る



俺は田中の申し出を断れず、

頷いた



もう、どうでもよくなって来ていた



俺は田中と付き合う事に

したんだ



だから、一緒に帰るのも当たり前で、


断る理由なんて無い



それに…



いい加減、

何度もこんな事が続けば、

気付く



俺は咲に避けられているのだろう





今日、一日中、

一度も咲は


俺の方を見る事も、


話し掛けて来る事も

無かった



悲しい気持ちが、

段々と咲に対する

怒りに変わって来ている



このまま咲の事を嫌いに

なれば、


忘れられる



咲を好きじゃ無くなれる





「俺の家に来ないか?」



俺がそう言うと、

田中は困った表情を浮かべたが、


直ぐに笑顔を作り、

大きく頷いた

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