第145話

「食べないと駄目だよ」



田中は自分の弁当に入っていた大きな卵焼きをフォークで突き刺すと、


それを強引に

俺の口の中に入れた





「おい、ちょっと…」



俺はそれを制そうとしたが、

そう思った時には卵焼きはもう口の中で…



もう食べるしか無かった





「…上手い」



口の中で、

卵焼きの甘い味が広がる



自然と、卵焼きが喉を

通って行く





「でしょ?

マナ、料理は得意だから」



田中はそう言うと、

照れ臭そうに笑った



その顔が、


今迄見た田中の顔の中で

唯一、


俺はドキドキとした

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