第107話

『はぁ?

俺、田中に来なくていいって言ったけど…』



少し、涼の機嫌が

悪いのが分かる



困っているようにも、

受け取れる





「私一人なんだ…。

もう涼の家の近く迄来てて…。

道に迷って…」



私がそう言うと、

少し間が有った



電話の向こうで涼が迷っているのが分かる





『…分かったよ。

今、どこ?』



涼にそう言われ、

私は辺りを見回す





「あっ、産婦人科が有る。

で、向かいは家で」




『んじゃあ、そこの間の道を歩いて来て』



涼はその後も、

家迄の道順を丁寧に教えてくれた



私はそれに従い、歩く

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