第82話

ポタリ、ポタリ…



一定のリズムの小さな音で、

畳に赤い染みが出来る



俺の頬から落ちる血が、

ポタリ、ポタリと



俺は自分の左頬に触れた



生温かい液体を感じる



俺は、その液体のついた手をゆっくりと、

自分の目の前にやる



息が止まるくらいに、

驚いた



俺の手のひらは、

赤く染まっていた



赤い色は人を狂わせるのだろうか?



血を見た瞬間、

自分の中の体温が上がって行くのが分かった



俺は、母親の顔を睨み付けていた



生まれて初めて、

母親に対して反発したのかもしれない

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