第29話
俺が中学校に入った頃くらいからは、
母親は段々と、
俺に暴力を振るわなくなっていた
それは、
もう力では俺の方が
強いからだろう
身長だって、
中学二年生の頃には、
母親を見下ろすくらいに、俺は大きくなっていた
なのに、俺はずっと母親に逆らう事が出来なかった
ずっとだ
きっと、怖いのだと思う…
母親に怒られる事が怖いのではない
もし…
もし一度でも
母親に逆らったら…
自分を抑えれる自信が無い
何かの糸が切れたように、俺はもう止まらないだろう…
そうなるのが、
怖かった…
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